「妻は金遣いが荒い」と不満を持つだけで夫婦関係が悪化?
夫が妻のことを「金遣いが荒い」と感じているだけで、夫婦関係が悪化する可能性があることが、米ブリガムヤング大学のAshley LeBaron氏らによる研究で示された。実際に妻が買い物に費やしている金額や夫婦の収入とは関係なく、夫がそのような感情を抱いているだけで金銭をめぐって夫婦間の対立が深まることが分かったという。
金銭をめぐる問題は家庭不和の原因となることが多い。そこでLeBaron氏らは今回、金銭をめぐる夫婦間の対立の要因について調べるため、2007年から実施されている家族関係に関する調査プロジェクトの対象となった約700世帯のデータを分析した。調査に協力した夫婦の平均年齢は45~46歳で、結婚してからの年数は平均18年だった。
その結果、「金銭をめぐり夫婦間で対立することがある」と回答した夫では、その最大の要因は「妻は浪費家だと感じていること」であることが分かった。この他、「経済的な不安」「低収入」「子どもの数が3人以上」も、夫婦間に対立をもたらす要因であることが示された。一方、「金銭をめぐり夫婦間で対立することがある」と回答した妻では、「夫から浪費家と思われていること」が対立する最大の要因だった。
また、夫婦の収入や実際に買い物に費やしている金額にかかわらず、夫が妻は浪費家だと感じているだけで対立する可能性が高まることが分かった。つまり、現実よりも、配偶者の消費行動をどのように捉えているかが夫婦関係に影響することが示唆された。
共同研究者で米カンザス州立大学准教授のSonya Britt-Lutter氏は「結婚したらできるだけ早いうちから金銭について夫婦間で話し合う機会を持つべき。状況が好転すれば金銭面の問題は解消すると考えてはいけない。『どのような状況か』よりも『どのように認識しているか』の方が大きな問題だ」と話している。
一方、共同研究者で米ブリガムヤング大学のJeffrey Hill氏は「夫婦関係や家族関係を専門とするセラピストやファイナンシャルプランナーなどの助けによって夫婦関係が好転する可能性がある」としている。
この研究結果は「Journal of Financial Planning」5月号に掲載された。(HealthDay News 2017年8月22日)
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