2HDN糖尿病ニュース9月7日配信1
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腎機能の低下で心房細動リスクが高まる?

腎機能が低下するほど、心臓のリズム(拍動)に乱れが生じ、時に致死的となる心房細動を発症するリスクが高まる可能性のあることが「Clinical Journal of the American Society of Nephrology」8月10日オンライン版に掲載された研究で報告された。

研究を主導した米ワシントン大学腎臓研究所准教授のNisha Bansal 氏は「慢性腎臓病(CKD)患者では、脳卒中や心不全を引き起こしかねない心房細動を来すリスクが2倍に高まることが分かった。この研究によると、腎機能のわずかな変化でさえも心房細動リスクと強く関連することも明らかにされた」と述べている。

今回の研究は、米国で行われた3件の前向きコホート研究(Jackson Heart Study、Multi-Ethnic Study of AtherosclerosisおよびCardiovascular Health Study)のデータを用いてメタ解析したもの。参加者の総数は1万6,769人で、研究開始時点で心房細動を呈した者はいなかった。全ての参加者には、研究開始時に血液検査と尿検査を行い、推算糸球体濾過量(eGFR)と尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の測定を行った。

参加者をeGFR値で5つの群に、UACRで4つの群に分けて平均で8.5~12.5年間追跡した結果、研究開始時点で腎機能が低下しているほど、追跡期間中に心房細動を発症する確率が高まることが分かった。eGFR値が正常な群(90mL/分/1.73m3超)と比べた心房細動を来すリスクは、CKDが強く疑われる群(30~44mL/分/1.73m3)では1.59倍、CKD患者群(30mL/分/1.73m3未満)では2.03倍であった。同様に、尿中アルブミン/クレアチニン比が正常な群(15mg/g未満)に比べて顕性蛋白尿を呈する群(300mg/g以上)では心房細動リスクは1.76倍であった。

今回の研究ではこれらの因果関係は証明されていないが、糖尿病や喫煙習慣、心臓病の既往歴といった心房細動のリスク因子を調整した解析でもこれらの関連は認められたことから、「腎機能はその他の因子とは独立した心房細動のリスク因子であることが分かった」とBansal氏は述べている。

腎機能と心房細動の関連を説明する要因はいくつかあり、その1つには、腎機能の低下がカリウムやビタミンD、カルシウム、リンといった心機能維持に必須な栄養素の血中レベルに影響することが挙げられる。また、排尿によって余分な水分を体外に排出し、体内の血液量を適正に維持する腎臓の機能自体にも要因があるという。Bansal氏は「腎機能が悪化すると体内の血流量が増加し、これが心臓に負荷をかけて拍動に異常が生じる引き金となる可能性がある」と説明している。

専門家の1人、米マサチューセッツ総合病院のKevin Chan氏は、腎機能が低下して血液から濾過されずに体内に残された毒素が心機能に悪影響を及ぼしている可能性を指摘する。「今回の報告に基づくと、医師は患者に腎機能の低下がみられたら心臓の状態にも注意を払うべきであり、心房細動などの異常が見つかれば抗血栓薬やペースメーカーなどの適切な措置を取る必要がある」と同氏は強調している。

また、Bansal氏は「食生活の改善や運動習慣、禁煙といった生活習慣の是正は、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患だけでなく腎疾患の予防や進行抑制にも有効であり、強く推奨される」とアドバイスしている(HealthDay News 2017年8月10日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/atrial-fibrillation-959/kidney-disease-may-boost-risk-of-abnormal-heartbeat-725476.html
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