2HDN糖尿病ニュース9月21日配信2
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2型糖尿病患者は大動脈瘤になりにくい?

2型糖尿病があると、ない場合に比べて大動脈瘤と大動脈解離の長期的なリスクが有意に低く、大動脈瘤破裂後の死亡リスクも低いとする研究結果が第53回欧州糖尿病学会(EASD 2017、9月11~15日、ポルトガル・リスボン)で報告された。しかし、これらの疾患リスクは低減するものの、2型糖尿病患者では動脈硬化の進展による心血管疾患リスクの方がはるかに上回るため、楽観視はできないようだ。

大動脈瘤は心臓から胸部や腹部へ走る大動脈の血管壁が弱くなり、バルーン状に膨張するもの。一方の大動脈解離は大動脈の内膜に亀裂が生じ、血液が流れ込むことで血管壁が2層に解離する。いずれも大動脈の破裂を生じうるため、時に致死的な内出血をもたらすが、発症率は10万人当たりそれぞれ5~10人、2~4人と比較的まれな疾患とされている。

これまでの研究で、2型糖尿病患者では短期的に大動脈瘤や大動脈解離になるリスクは低減することが、少なくとも20年前から知られているが、その理由は明らかにされていなかった。

そこで、スウェーデン全国糖尿病レジスター(Swedish National Diabetes Register)に所属するTarik Avdic氏らの研究グループは、1998~2015年の同レジスターに登録された2型糖尿病患者44万8,319人と年齢や性、地域をマッチさせた糖尿病がない225万1,015人の対照群のデータを比較し、2型糖尿病による大動脈瘤と大動脈解離の長期的なリスクへの影響を調べた。平均追跡期間は2型糖尿病患者群が7.0年、対照群が7.2年であった。

その結果、対照群と比べて2型糖尿病患者群では大動脈瘤になるリスクが28%、大動脈解離になるリスクは47%それぞれ低いことが分かった。また、大動脈瘤の破裂による入院から2年後までの死亡率は、対照群と比べて2型糖尿病患者群で有意に低いことも示された。

2型糖尿病患者において大動脈瘤と大動脈解離の長期的なリスクに低減がみられた理由について、Avdic氏らは、循環血液中の血糖の濃度が高まると血管壁がストレスに対して強くなり、膨張したり裂ける危険性が低くなる可能性があると考察している。

専門家の1人、米レノックス・ヒル病院血管外科の部門長を務めるDerek Brinster氏は、高血糖状態になることは動脈硬化の形成も促すことから「両刃の剣だ」と強調。2型糖尿病患者はアテローム性動脈硬化の進展により心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性が高まっており、「今回の結果を聞いて“2型糖尿病で良かった”などと患者が思わないように医師は注意すべきだ」と述べ、今回観察された2型糖尿病によるベネフィットは比較的まれな疾患に対するもので「リスク低減はごく少数に認められるだけ」と付け加えている。

なお、学会で発表された知見は、査読を受けた専門誌に掲載されるまで予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年9月13日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/aneurysm-news-354/upside-to-diabetes-really-isn-t-726472.html

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