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高価な薬剤は「副作用」を引き起こしやすい可能性

高価な薬剤は「ノセボ効果」による副作用を引き起こしやすいことが、エッペンドルフ大学メディカルセンター(ドイツ)のAlexandra Tinnermann氏らによる研究で示唆された。ノセボ効果とは、治療の副作用について不安を感じていると実際に症状が現れるというもので、プラセボ効果とは逆の効果を指す。今回の研究では、価格が高いと伝えられた偽薬を使用した患者は、安価だと伝えられた偽薬を使用した患者と比べて強い副作用を訴える確率が高いことが示された。詳細は「Science」10月6日号に掲載された。

Tinnermann氏らによると、ランダム化比較試験では副作用を理由に試験への参加を中断する患者がいるが、その中には偽薬を使用する対照群に割り付けられた患者が含まれていることは珍しくないという。このようなノセボ効果は、必要な治療の継続を妨げる問題となる可能性がある。そこで同氏らは今回、ノセボ効果についてより詳細に調べるため、薬剤の価格がノセボ効果にどのように影響するのかについて検討した。

対象は健康なボランティア49人。全員に「アトピー性皮膚炎治療に用いられているクリームを試してほしいが、皮膚が痛みに敏感になる副作用がある」と説明した上で、このうち24人には「安価な薬剤」と伝えてオレンジ色の箱に入ったクリームを使用してもらい、残る25人には「高価な薬剤」と伝えて青い箱に入ったクリームを使用してもらった。実際にはいずれのクリームも同一の内容で有効成分は含まれていなかった。

クリームを塗布した腕に熱による痛みを与えて耐性を調べる検査を実施した結果、「高価な薬剤」と説明を受けてクリームを塗布した人は痛みに敏感になっていることが分かった。この検査では、熱刺激を与えた後、痛みの程度を評価スケール(VAS)で評価してもらったが、高価な薬剤群では平均スコアが15点(軽度の痛み)だったが、安価な薬剤群では平均3点未満で不快感を訴えた者はほとんどいなかったという。

この結果を踏まえ、Tinnermann氏は「高価な薬剤は効果が強力な分、副作用も強いと予測されやすいのではないか」と考察。この研究に関する付随論評を執筆した米メリーランド大学のLuana Colloca氏もこれに同意し、「人は薬剤そのものだけでなく、その価格や静脈注射か経口薬かといった投与方法の違いによる影響を受けやすい」と指摘している。

さらに今回、高価な薬剤群でみられたノセボ効果が思い込みや錯覚によるものではないことも示唆された。Tinnermann氏らが研究に参加したボランティアに機能的MRIによる脳画像検査を実施したところ、高価な薬剤群でノセボ効果がみられた人では脳神経系の活性に特定のパターンが認められ、特に前頭前野での活性を介して痛覚の過敏性が生じている可能性が示されたという。

Tinnermann氏は、医療従事者に対し「薬物療法では薬剤に対する患者の期待や予測が大きく影響することを認識しておく必要がある。薬剤の副作用について患者に説明する際には、その伝え方に注意すべきだ」と助言している。

Colloca氏も「ノセボ効果を理由に必要な薬剤を使用しなくなってしまう可能性があるため、これは重要な問題だ」と強調。スタチンの副作用に筋肉痛が生じる可能性があることを知っているスタチン療法中の患者は、筋肉痛を訴える確率が高いとする最近の研究結果を紹介した上で、「スタチン療法を中止すると心筋梗塞や脳卒中リスクが高まることを示した研究結果もあることを認識しておく必要があるだろう」と指摘している。(HealthDay News 2017年10月5日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/health-cost-news-348/does-a-drug-s-high-price-tag-cause-its-own-side-effects-727246.html

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