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慢性腎臓病の治療に既存薬の可能性 マウス実験で多発性骨髄腫治療薬が腎線維化を抑制

東京医科歯科大学大学院腎臓内科学教授の内田信一氏と森崇寧氏らの研究グループは、これまで保存的治療しか手段がなかった慢性腎臓病(CKD)の治療に、多発性骨髄腫治療薬のボルテゾミブが有効な可能性があることをマウス実験で突き止めた。同薬はプロテアソーム阻害薬と呼ばれる分子標的薬の1つ。既に臨床で汎用され安全性も確認されているため、研究グループはCKD治療にも速やかに適用できる可能性があると期待を示している。詳細は「Scientific Reports」10月12日オンライン版に掲載された。

CKDの患者数は日本国内で1300万人を上回り、成人の8人に1人がCKDとも推計されている。また、CKDが進行して末期腎不全となり透析治療を余儀なくされている患者も30万人を超えており、その予防と適切な管理は重大な課題とされている。

CKDの治療では腎組織の線維化をいかに食い止めるかが重要とされてきた。研究グループは、これまで多発性骨髄腫に合併した腎機能障害の改善効果が報告されていたボルテゾミブに着目。同薬の腎機能改善効果は骨髄腫の改善に伴うものと考えられてきた一方で、最近では肝臓や皮膚の組織の線維化を抑制するとの報告も相次いでいることから、腎臓での効果を検証するために腎不全モデルマウスを用いた実験を行った。

実験では、まず腎臓の傷害を引き起こすアリストロキア酸を用いて腎線維化のモデルマウスを作製。その後、アリストロキア酸を10週間投与すると同時にボルテゾミブを週2回投与したところ、アリストロキア酸によって引き起こされた腎機能障害と蛋白尿が有意に改善することが分かった。また、同薬を投与すると腎障害マーカーとなる蛋白質の発現量が抑えられ、腎組織の線維化した領域が縮小していることも確認された。

さらに、ボルテゾミブを投与したマウスでは、線維化を促進するサイトカインであるトランスフォーミング増殖因子(TGF)-β1と転写因子Smad3シグナルの活性が抑制され、アリストロキア酸によって引き起こされた腎組織内のアポトーシス(細胞死)も減弱したことから、これらが線維化の改善メカニズムの一端を担っていることも示された。

以上の結果から、研究グループは「ボルテゾミブはTGF-β1/Smad3シグナル活性を抑制することで腎線維化を改善し、CKDの進行を抑えられる可能性がある」と結論。多発性骨髄腫の既存薬として広く用いられているボルテゾミブはCKD治療の新しい選択肢になる可能性があると述べている。(HealthDay News 2017年10月23日)

Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41598-017-13486-x

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