2HDN糖尿病ニュース11月30日配信2
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経口インスリンは1型糖尿病の予防に有効か?

近親者に1型糖尿病患者がいるなど1型糖尿病の発症リスクが高い人の中でも、特にリスクの高い人は経口インスリン製剤の服用でその発症を予防したり、発症時期を遅らせることができる可能性のあることが、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」11月21日号に掲載の論文で報告された。

1型糖尿病は自分の免疫系がインスリンを産生する膵β細胞を攻撃する自己免疫疾患であり、患者は常にインスリンを補充しなければならない。研究を主導した1型糖尿病トライアルネット(Diabetes TrialNet)研究グループの委員長を務めるCarla Greenbaum氏によると、経口のインスリン製剤は注射タイプのものとは異なり、血糖値には作用せずインスリン療法の代替にはならない。また、経口インスリン製剤は胃の消化作用で破壊されるとペプチドが産生されるが、このペプチドは免疫系には無害と認識されるため、短期間は自己免疫による攻撃が抑えられるという。

この研究は、インスリンに対する自己抗体を持ち、近親者に1型糖尿病がいる560人の小児を対象に行ったもの。参加者は2007~2015年にカナダや米国、オーストラリア、ニュージーランド、英国など9カ国から登録され、登録時の年齢の中央値は8.2歳、ほとんどが白人で6割が男児だった。

参加者を1型糖尿病の発症リスクで4つの群に層別化した上で、経口インスリン製剤7.5mg/日投与群(283人)とプラセボ投与群(277人)にランダムに割り付けて中央値で2.7年間の追跡を行った。なお、参加者のうち550人が試験を終了した。

その結果、参加者の多くでは経口インスリン製剤を服用しても1型糖尿病の予防効果や発症を遅らせる効果は認められなかった。しかし、インスリン分泌の低下がみられ、1型糖尿病の発症リスクが特に高いと予測される参加者群では、プラセボ群と比べて経口インスリン製剤を服用した群で1型糖尿病の発症リスクが抑えられたほか、発症時期を約2年半遅らせることができた。

Greenbaum氏によると、これは経口インスリン製剤を用いた研究の中でも最大規模のものであり、また、若年性糖尿病研究財団(JDRF)のJessica Dunne氏も今後の検証が必要としつつも、「ようやく1型糖尿病の発症予防や進展抑制を示す結果が得られた」と評価している。

Greenbaum氏らは、1型糖尿病リスクが高かった参加者群では、自己免疫系の膵β細胞への攻撃が特に活発であったことが、経口インスリン製剤による予防効果や発症遅延効果につながった可能性があると推測している。同氏らはより高用量の経口インスリン製剤による試験を実施中で、今後、経口インスリン製剤と免疫系に作用する薬剤の併用効果についても調べる予定だという。同氏は「経口インスリン製剤の投与が適する患者を早期に発見し、1型糖尿病の発症を遅らせることができれば合併症予防にも役立つだろう」と期待を示している。(HealthDay New 2017年11月21日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-i-diabetes-news-182/insulin-pill-may-delay-type-1-diabetes-in-some-728707.html

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