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DPP-4阻害薬による皮膚難病のリスク因子を同定 非炎症型「水疱性類天疱瘡」患者の約9割に特定のHLA遺伝子、北大ら

2型糖尿病の経口治療薬であるDPP-4阻害薬を服用中に、非炎症型の「水疱性類天疱瘡」という厚生労働省指定の難病を生じた患者の約9割がある特定のHLA遺伝子「HLA-DQB1*03:01」を保有していることを、北海道大学大学院皮膚科学の氏家英之氏(講師)らの研究グループが理化学研究所らとの共同研究で突き止めた。このHLA遺伝子は、DPP-4阻害薬を服用する糖尿病患者において、これまで発症予防の術がなかった水疱性類天疱瘡の発症リスクを予測するバイオマーカーとして活用できる可能性があるという。詳細は「Journal of Investigative Dermatology」12月1日オンライン版に掲載された。

DPP-4阻害薬は2型糖尿病の経口治療薬として国内外で汎用されているが、服用患者の一部に水疱性類天疱瘡という難治性の自己免疫疾患を来すケースがあることが知られている。水疱性類天疱瘡は皮膚の表皮と真皮の境にある基底膜に存在するタンパクに対する自己抗体ができることで生じ、かゆみを伴う発疹や水疱、びらんを生じる。60~70歳以上の高齢者に多くみられ、難治性で患者のQOLを大きく低下させるため発症予防が望まれているが、これまで水疱性類天疱瘡が発症するリスク因子は明らかにされていなかった。

そこで共同研究グループは今回、DPP-4阻害薬を服用中に水疱性類天疱瘡を生じた2型糖尿病患者30人を対象に皮膚症状や自己抗体を調べ、対象患者を非炎症型と炎症型の2種類に分けてHLA遺伝子を解析した。また、DPP-4阻害薬の服用によらない水疱性類天疱瘡患者72人と同薬を服用中で水疱性類天疱瘡を発症していない2型糖尿病患者61人のHLAも解析し、健康な対照群(873人)のデータと比較した。

その結果、DPP-4阻害薬を服用中に水疱性類天疱瘡を生じた患者の7割(21人)を非炎症型が占めていた。HLA遺伝子の解析により、この非炎症型患者では86%が「HLA-DQB1*03:01」というHLA遺伝子を保有しており、この保有率は対照群(18%)と同薬を服用中の2型糖尿病患者(31%)と比べて有意に高いことが分かった。さらに、同薬の服用によらない水疱性類天疱瘡患者におけるHLA遺伝子の保有率は26%と、対照群との有意な差はみられなかったことから、HLA-DQB1*03:01は一般の水疱性類天疱瘡や2型糖尿病とは関連せず、DPP-4阻害薬服用による水疱性類天疱瘡の発症と強く関連することが明らかになった。

研究グループは、HLA-DQB1*03:01を保有する患者がDPP-4阻害薬を服用中に水疱性類天疱瘡を発症する確率については今後の研究で明らかにする必要があるとしつつも、「今回同定されたHLA-DQB1*03:01というHLA遺伝子は、DPP-4阻害薬を服用中の水疱性類天疱瘡の発症を予測する因子になり得るものであり、疾患バイオマーカーと発症予防法の開発への活用が期待される」と述べている。(HealthDay News 2017年12月25日)

Abstract
http://www.jidonline.org/article/S0022-202X(17)33231-1/pdf

Press Release
https://www.hokudai.ac.jp/news/171207_pr.pdf

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