4HDN国内ニュース1月22日配信1
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妊娠中に魚を食べると抑うつ状態になりにくい? 母親約7万5千人と父親約4万人を調査、富山大

妊娠中や出産直後に魚を多く食べると、あまり食べなかった女性と比べて抑うつ状態になりにくい可能性があると、富山大学医学部公衆衛生学講座准教授の浜崎景氏らの研究チームが「Journal of Psychiatric Research」12月15日オンライン版に発表した。この研究は、全国で10万組を超える親子を対象に2011年に開始されたエコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)の一環として行われたもの。研究チームによると、この研究は妊娠中の魚およびn-3 系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)の摂取量と抑うつ状態のなりやすさとの関係を調べた過去最大規模のものだという。

妊娠中や産後は子どもを授かった喜び以上に、気分の落ち込みや不眠が続き、抑うつ状態になりやすいとされ、最近では産前産後の妊婦の心のケアの重要性が指摘されている。これまで数多くの疫学研究で魚介類やn-3 PUFAの摂取量が多いほど抑うつ状態になりにくい可能性が報告されているが、一致した見解は得られていない。

研究チームは今回、エコチル調査に参加した子どもの父母を対象に、母親の妊娠前期と妊娠中期~後期における食事調査(父親に対しては母親の妊娠期間中に1回実施)からの魚およびn-3 PUFAの摂取量と父母の抑うつ状態との関係を調べる研究を行った。

解析対象とした母親は、妊娠前期が7万5,139人、妊娠中期~後期が7万9346人、産後1カ月が7万7,661人であり、父親は4万1,506人であった。母親と父親をそれぞれ魚の摂取量で5つの群に分けて(摂取量が「少ない」「やや少ない」「中程度」「やや多い」「多い」)、摂取量が最も少なかった群を対照として各群の抑うつ状態になるリスクを比較検討した。

解析の結果、妊娠前期の女性では、魚の摂取量が最も少なかった群と比べて「やや少ない」群〔オッズ比0.83、95%信頼区間(CI)0.73~0.94〕と中程度に摂取する群(同0.79、0.70~0.91)で抑うつ状態になるリスクが有意に低下した。また、妊娠中期~後期の女性では、最も摂取量が少なかった群と比べて摂取量が多かった4つの群で抑うつ状態になるリスクが低下し、中でも「やや多い」群でリスクは29%有意に低下した〔同0.71、0.63~0.82、傾向検定でも有意な関連あり(P=0.01)〕。産後1カ月の女性では、「やや少ない」群と「中程度」群、「やや多い」群で抑うつ状態になるリスクが有意に低下した。さらに、父親は魚の摂取量が「少ない」群と比べて「やや多い」群で抑うつ状態になるリスクが有意に低下した。

一方で、n-3 PUFAの摂取量については、妊娠中期~後期では摂取量が「やや少ない」から「やや多い」の3つの群で抑うつ状態になるリスクが低下し、また産後の「やや少ない」群でもリスクは低下したが、妊娠前期や父親では摂取量と抑うつリスク低減との関連は認められなかった。

以上の結果から、研究チームは「妊娠中~産後の魚の摂取量は母親の抑うつ状態の程度と関連する可能性があり、父親でも同様の傾向がみられることが分かった。一方で、n-3 PUFAの摂取量については、抑うつ状態との関連は魚の摂取量よりも弱まることも示された」と結論づける一方で、今回の研究結果はあくまでこれらの関連性を示したに過ぎず、魚をより多く食べる人は一般的に健康意識が高く、そうした要因が結果に影響を及ぼした可能性も否定できないと指摘している。(HealthDay News 2018年1月22日)

Abstract/Full Text
http://www.journalofpsychiatricresearch.com/article/S0022-3956(17)31152-4/fulltext

Press Release
https://www.u-toyama.ac.jp/outline/publicity/pdf/2017/1212_3.pdf

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