40歳以上を対象とする特定健診(メタボ健診)で生活習慣病の発症リスクが高いと判定された人のうち、特定保健指導を受けた人は、受けなかった人と比べて3年後のウエスト周囲長やBMI、血圧や脂質などの心血管代謝の指標が有意に改善することが、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の中尾葉子氏と宮本恵宏氏(部長)らの研究グループの調査で分かった。厚生労働省の集計によると特定健診・特定保健指導ともにその受診率は同省の目標(各70%、45%)には届いておらず、受診率向上に向けたさらなる取り組みが求められる。詳細は「PLOS ONE」1月9日オンライン版に掲載された。研究グループは、特定健診・特定保健指導の長期効果を検証するため、2008年度の特定健診受診者1996万9,722人のうち、特定保健指導(保健師や管理栄養士などの面談による生活習慣への介入)の対象とされた40~74歳の成人男女101万9,688人を抽出し、特定保健指導への参加の有無で分けて後ろ向きに追跡し、メタボリック症候群の指標について分析した。評価項目は、ウエスト周囲長とBMIの減少、メタボリック症候群に該当しなくなった人の割合、血圧や脂質、血糖などの心血管代謝指標の変化とした。解析対象者のうち11万1,779人が特定保健指導を受診し、90万7,909人は受診しなかった。.解析の結果、3年後にウエスト周囲長とBMIが5%以上減少した人の割合は、特定保健指導を受けた群では受けなかった群と比べて有意に高かった(ウエスト周囲長:21.4%対16.1%、BMI:17.6%対13.6%、それぞれP<0.001)。また、特定保健指導を受けた群ではメタボリック症候群に該当しなくなった人の割合も有意に高かったほか(47.0%対41.5%、P<0.001)、血圧と脂質(中性脂肪やHDL-コレステロール)の値が有意に改善した。これらの結果は、プロペンシティスコアマッチや操作変数(instrumental variable)法を用いた解析でも同様に確認された。.以上の結果から、研究グループは、健康への意識が高い人ほど積極的に特定保健指導を受診した可能性を指摘しつつ、「ナショナルデータベース(NDB)を用いた効果検証により、特定健診・特定保健指導により腹部肥満やメタボリック症候群のリスク因子が長期的に改善する可能性が示された」と結論づけている。(HealthDay News 2018年1月29日).Abstracthttp://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0190862.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
40歳以上を対象とする特定健診(メタボ健診)で生活習慣病の発症リスクが高いと判定された人のうち、特定保健指導を受けた人は、受けなかった人と比べて3年後のウエスト周囲長やBMI、血圧や脂質などの心血管代謝の指標が有意に改善することが、国立循環器病研究センター予防医学・疫学情報部の中尾葉子氏と宮本恵宏氏(部長)らの研究グループの調査で分かった。厚生労働省の集計によると特定健診・特定保健指導ともにその受診率は同省の目標(各70%、45%)には届いておらず、受診率向上に向けたさらなる取り組みが求められる。詳細は「PLOS ONE」1月9日オンライン版に掲載された。研究グループは、特定健診・特定保健指導の長期効果を検証するため、2008年度の特定健診受診者1996万9,722人のうち、特定保健指導(保健師や管理栄養士などの面談による生活習慣への介入)の対象とされた40~74歳の成人男女101万9,688人を抽出し、特定保健指導への参加の有無で分けて後ろ向きに追跡し、メタボリック症候群の指標について分析した。評価項目は、ウエスト周囲長とBMIの減少、メタボリック症候群に該当しなくなった人の割合、血圧や脂質、血糖などの心血管代謝指標の変化とした。解析対象者のうち11万1,779人が特定保健指導を受診し、90万7,909人は受診しなかった。.解析の結果、3年後にウエスト周囲長とBMIが5%以上減少した人の割合は、特定保健指導を受けた群では受けなかった群と比べて有意に高かった(ウエスト周囲長:21.4%対16.1%、BMI:17.6%対13.6%、それぞれP<0.001)。また、特定保健指導を受けた群ではメタボリック症候群に該当しなくなった人の割合も有意に高かったほか(47.0%対41.5%、P<0.001)、血圧と脂質(中性脂肪やHDL-コレステロール)の値が有意に改善した。これらの結果は、プロペンシティスコアマッチや操作変数(instrumental variable)法を用いた解析でも同様に確認された。.以上の結果から、研究グループは、健康への意識が高い人ほど積極的に特定保健指導を受診した可能性を指摘しつつ、「ナショナルデータベース(NDB)を用いた効果検証により、特定健診・特定保健指導により腹部肥満やメタボリック症候群のリスク因子が長期的に改善する可能性が示された」と結論づけている。(HealthDay News 2018年1月29日).Abstracthttp://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0190862.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.