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「つわり治療薬」の効果を疑問視、カナダ医師ら

吐き気や嘔吐などの重いつわり(妊娠悪阻)に対する治療薬として米国で広く使用されているドキシラミンとピリドキシンの合剤(商品名Diclegis)の効果を疑問視する研究論文が「PLOS ONE」1月17日オンライン版に掲載された。論文を執筆したセント・マイケルズ病院(カナダ)のNav Persaud氏らは「米食品医薬品局(FDA)がDiclegis承認の根拠としている研究データをあらためて分析した結果、プラセボと比べた同薬の効果の差は極めて小さいことが分かった」としている。

Diclegisは抗ヒスタミン薬のドキシラミンとビタミンB6製剤であるピリドキシンの合剤で、米国では2013年に販売が承認されて以降、つわりに苦しむ多くの妊婦に使用されている。ドキシラミンとピリドキシンの合剤は以前にも米国で販売されていた時期があったが、催奇形性リスクが指摘されたことをきっかけに1980年代に販売が中止された。しかし、その後の研究から同薬の催奇形性への影響が否定され、さらに2010年に発表されたDIC-301と呼ばれるランダム化比較試験でプラセボを上回るDiclegisの有効性が示されたという。これらの研究結果を根拠としてFDAは同薬の販売を承認した。

Persaud氏らは今回、Diclegisの製造元であるDuchesnay 社(カナダ)が提出したDIC-301のデータをあらためて分析した。この試験は、米国内の大学病院6施設で妊娠7~14週の妊婦を対象に実施された。主要評価項目はベースライン時から14日後までの吐き気および嘔吐の症状スコア(0~13点で評価)の変化で、Diclegisとプラセボとの間に同スコアで3点の差が認められた場合をスコア改善の目安としていた。しかし、実際にはDiclegisを使用した妊婦の群とプラセボを使用した妊婦の群との間に認められたスコアの差はわずか0.73点だったという。

Persaud氏らは「この差は統計学的には有意ではあるが、薬を使用する人が実感できるレベルの効果とはいえない」と指摘。FDAは同薬の承認を見直すべきとの見解を示している。

一方、Duchesnay社はPersaud氏らの論文に関して声明文を発表し、「Diclegisの安全性と有効性はこれまでに20件以上の研究やレビューで裏付けられており、米国産科婦人科学会(ACOG)などの関連学会もつわりに対する第一選択薬としてDiclegisを推奨している」と反論している。

ACOGは先ごろ妊娠中の吐き気や嘔吐の治療に関する診療ガイドラインの改訂版を公表したばかりだが、Diclegisの第一選択薬としての位置づけに変更はない。同学会の産科診療指針委員会(Practice Bulletin Obstetrics Committee)委員長のMark Turrentine氏は「今後、ガイドラインの根拠としているエビデンスのいずれかが修正または撤回されるのであれば推奨内容を見直す」と説明している。

年間750~800件の分娩を扱う産科に勤務する米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のFahimeh Sasan氏は「Diclegisが有効であることは日常診療の中で実感しており、安全性についても特に警戒すべきことはない」と話し、Persaud氏らの論文について「大げさ」との見方を示している。(HealthDay News 2018年1月17日)

https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-risks-news-546/morning-sickness-drug-may-not-work-study-730224.html

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