肥満率の高い地域に住むと、親も子どもも肥満になりやすい可能性のあることが「Journal of the American Medical Association(JAMA)」1月22日オンライン版に掲載された新しい研究で示された。この調査は米国陸軍兵士とその子ども約1,500組を対象に行われたもので、研究者らは、米国の一部地域で肥満率が著しく高いことを説明する根拠になるとしている。論文の筆頭著者である米南カリフォルニア大学経済・社会研究センターのAshlesha Datar氏は「肥満が多い地域では、肥満につながるような食生活や運動習慣、体型に関して寛容な社会になりやすい」と述べている。この研究は因果関係を証明するものではないが、同氏によると、この「社会的伝染(social contagion)」と呼ばれる現象は職場などの環境でも起こりうるという。「要は、自分の周りに肥満の人が多いと肥満になりやすいということだ」と同氏は付け加えている。.論文の共著者でシンクタンクのランド研究所に所属するNancy Nicosia氏は今回、個人の都合ではなく軍の要請による転居が多い陸軍兵士とその家族に着目した。これにより、肥満の人は自分たちに似通った人たちとつながりやすいという可能性を除外できたとしている。.Datar氏とNicosia氏は、Military Teenagers' Environments, Exercise, and Nutrition Studyに登録された陸軍兵士とその家族のうち、2013~2014年に全米38カ所の軍事施設に配属された陸軍兵士とその子ども(12歳または13歳)計1,519組から得られたデータ〔親については1,314人(56%が父親)、子どもについては1,111人(52%が男児)〕を分析し、肥満率の高い地域に配属された後に過体重や肥満リスクが高まるかどうかを調べた。.まず、両氏らは陸軍兵士とその子どものBMIを評価した。次に、食料品店やスポーツ、娯楽施設などの数を集計して各地域の"共有環境(shared environment)"を調べ、それぞれの地域の肥満率を評価した。.解析の結果、肥満率の高い郡に配属された陸軍兵士とその子どもは、肥満率の低い郡に配属された場合と比べて過体重や肥満になりやすいことが分かった。一方で、肥満率の低い郡に配属されると肥満になりにくいことも明らかにされた。しかし、Datar氏は「食生活や運動などの環境を共有する近隣同士が肥満率を促す原因であることを示唆するエビデンスは認められなかった」と述べている。.専門家の一人、米テキサス大学サウスウェスタン医療センター助教授のLona Sandon氏は「行動学と心理学の研究では、周囲の人が自分の行動や価値観、信念に影響することはよく知られている。健康面においても同様に、本人の認識にかかわらず、どのような食生活や運動習慣を選択するのかには社会的な受容性や基準が大きく影響すると考えられる」と説明している。.Sandon氏の研究では、ほとんどの人は自身の行動は自分でコントロールしていると信じていることが示唆されている。しかし、例えば、多くの人は外食時の自身の注文が同席した友人の選択による影響を受けたと思うことが多々あると回答しており、こうした選択は周囲の影響を受けやすいものと考えられるという。そのため、「もし体重を減らし、食生活や運動習慣を変えたいなら健康的な習慣をもつ新しい友人を作るとよいだろう」と同氏は助言している。(HealthDay News 2018年1月23日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/obesity-health-news-505/is-obesity-contagious-730379.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
肥満率の高い地域に住むと、親も子どもも肥満になりやすい可能性のあることが「Journal of the American Medical Association(JAMA)」1月22日オンライン版に掲載された新しい研究で示された。この調査は米国陸軍兵士とその子ども約1,500組を対象に行われたもので、研究者らは、米国の一部地域で肥満率が著しく高いことを説明する根拠になるとしている。論文の筆頭著者である米南カリフォルニア大学経済・社会研究センターのAshlesha Datar氏は「肥満が多い地域では、肥満につながるような食生活や運動習慣、体型に関して寛容な社会になりやすい」と述べている。この研究は因果関係を証明するものではないが、同氏によると、この「社会的伝染(social contagion)」と呼ばれる現象は職場などの環境でも起こりうるという。「要は、自分の周りに肥満の人が多いと肥満になりやすいということだ」と同氏は付け加えている。.論文の共著者でシンクタンクのランド研究所に所属するNancy Nicosia氏は今回、個人の都合ではなく軍の要請による転居が多い陸軍兵士とその家族に着目した。これにより、肥満の人は自分たちに似通った人たちとつながりやすいという可能性を除外できたとしている。.Datar氏とNicosia氏は、Military Teenagers' Environments, Exercise, and Nutrition Studyに登録された陸軍兵士とその家族のうち、2013~2014年に全米38カ所の軍事施設に配属された陸軍兵士とその子ども(12歳または13歳)計1,519組から得られたデータ〔親については1,314人(56%が父親)、子どもについては1,111人(52%が男児)〕を分析し、肥満率の高い地域に配属された後に過体重や肥満リスクが高まるかどうかを調べた。.まず、両氏らは陸軍兵士とその子どものBMIを評価した。次に、食料品店やスポーツ、娯楽施設などの数を集計して各地域の"共有環境(shared environment)"を調べ、それぞれの地域の肥満率を評価した。.解析の結果、肥満率の高い郡に配属された陸軍兵士とその子どもは、肥満率の低い郡に配属された場合と比べて過体重や肥満になりやすいことが分かった。一方で、肥満率の低い郡に配属されると肥満になりにくいことも明らかにされた。しかし、Datar氏は「食生活や運動などの環境を共有する近隣同士が肥満率を促す原因であることを示唆するエビデンスは認められなかった」と述べている。.専門家の一人、米テキサス大学サウスウェスタン医療センター助教授のLona Sandon氏は「行動学と心理学の研究では、周囲の人が自分の行動や価値観、信念に影響することはよく知られている。健康面においても同様に、本人の認識にかかわらず、どのような食生活や運動習慣を選択するのかには社会的な受容性や基準が大きく影響すると考えられる」と説明している。.Sandon氏の研究では、ほとんどの人は自身の行動は自分でコントロールしていると信じていることが示唆されている。しかし、例えば、多くの人は外食時の自身の注文が同席した友人の選択による影響を受けたと思うことが多々あると回答しており、こうした選択は周囲の影響を受けやすいものと考えられるという。そのため、「もし体重を減らし、食生活や運動習慣を変えたいなら健康的な習慣をもつ新しい友人を作るとよいだろう」と同氏は助言している。(HealthDay News 2018年1月23日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/obesity-health-news-505/is-obesity-contagious-730379.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.