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アルブミン尿は認知症の有意なリスク因子 久山町研究

福岡県久山町の一般住民を対象とした疫学調査(久山町研究)から、日本人の高齢者においてアルブミン尿はアルツハイマー病(AD)および血管性認知症(VaD)の有意なリスク因子である可能性があると、九州大学大学院衛生・公衆衛生学分野教授の二宮利治氏らの研究グループが「Journal of the American Heart Association」1月20日オンライン版に発表した。一方で、アルブミン尿と推算糸球体濾過量(eGFR)低値を組み合わせるとVaDのみ発症リスクが上昇することも分かった。

これまでの前向き疫学研究で、アルブミン尿と推算糸球体濾過量(eGFR)低値は認知機能の低下や認知症の発症と関連する可能性が示唆されているが、結論には至っていない。研究グループは、日本人の高齢者で慢性腎臓病(CKD)の有病率が上昇している背景も鑑み、久山町研究のデータを用いてアルブミン尿およびeGFR低値が認知症の発症リスクに与える影響について分析した。

今回の研究では、2002年および2003年に60歳以上で認知症のない一般住民1,562人(うち男性が672人)を対象に、前向きに2012年11月まで(中央値で10.2年)追跡した。対象者を尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)またはeGFR値で層別化し、Cox比例ハザードモデルを用いて全ての認知症と病型別(AD またはVaD)の発症率を比較検討した。

追跡期間中に358人が認知症を発症した。このうち238人がAD、93人がVaDであった。 対象者をUACRで四分位(6.9mg/g以下、7.0~12.7mg/g、12.8~29.9mg/g、30.0mg/g以上)に分けて最も低い群を参照として認知症の発症リスクを比較した結果、性や年齢、BMI、喫煙習慣、eGFRなどの因子で調整した解析によりUACRが高値なほど認知症リスクは有意に高まることが分かった〔ハザード比は参照群(1.00)に対し、それぞれ1.12(95%信頼区間0.78~1.60)、1.65(1.18~2.30)、1.56(1.11~2.19)〕。認知症の病型別の解析でも同様の結果が得られた〔AD:ハザード比はそれぞれ1.20(0.77~1.86)、1.75(1.16~2.64)、1.58(1.03~2.41)、VaD:同1.03(0.46~2.29)、1.94(0.96~3.95)、2.19(1.09~4.38)〕。

一方で、対象者をeGFR値で高値群(60mL/分/1.73m2以上)と低値群(60mL/分/1.73m2未満)に分けて認知症の発症リスクを比較したところ、eGFR低値はVaD発症のリスク因子であったが、ADに関してはこうした関連は認められなかった。また、UACRが12.8mg/g以上かつeGFR値が60mL/分/1.73m2未満の群では、UACRが12.8mg/g未満かつeGFR値が60mL/分/1.73m2以上の群と比べてVaDリスクは3.3倍に上ることも分かった。

以上の結果を踏まえて、研究グループは「今回の結果から、アルブミン尿を呈する高齢者は認知症(ADおよびVaD)リスクが高い集団であるとともに、eGFRの低下が同時に認められる場合はVaDリスクがさらに高い可能性が示唆された。今後のさらなる研究の蓄積が待たれるが、こうした集団に対しては注意深く認知症の発症を観察する必要があるかもしれない」と述べている。(HealthDay News 2018年2月5日)

Abstract/Full Text
http://jaha.ahajournals.org/content/7/2/e006693?cpetoc

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