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流行の「点滴ラウンジ」は安全か?

二日酔いや時差ぼけをすぐに解消できることなどを謳った「点滴ラウンジ(IV Lounges)」が全米各地で人気を集めている。しかし、こうした施設での点滴は効果がないばかりか重篤な疾患や感染のリスクもあるとして、医師らが警鐘を鳴らしている。

点滴ラウンジでは利用客のニーズに応じて生理食塩水やビタミン剤、薬剤が配合されたさまざまな点滴静注液が提供されている。例えば、二日酔い解消用の点滴バッグには通常、制吐薬が含まれている。現在は今シーズンのインフルエンザ流行を受け、多くの点滴ラウンジで「免疫力を高める作用がある」という点滴が提供されている。

点滴サービスは80~875ドル(約9,000~9万6,000円)程度で提供されていることが多い。しかし、米ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学院のStanley Goldfarb氏によると、点滴サービスのほとんどは規制の対象外となっているため、安全性が確保されていない中での処置によって利用者が危険にさらされている可能性を懸念する声が医療関係者から上がっているという。

点滴ラウンジの流行は、歌手のリアーナやモデルのシンディ・クロフォード、音楽プロデューサーのサイモン・コーウェルといった著名人が利用を公言したことがきっかけで加速した。女優のリサ・リナはテレビのリアリティ番組でビバリーヒルズの自宅で娘とともに点滴を受けている姿を見せた。

米レノックス・ヒル病院のRobert Glatter氏によると、点滴ラウンジの先駆けともいえるのが、2012年にラスベガスに登場した移動式の点滴ユニット“二日酔い天国(Hangover Heaven)”だ。酒の飲み過ぎで二日酔いになった利用客が宿泊するホテルの部屋まで出張して点滴するというこの点滴ユニットのサービスは話題を呼び、その後全米に類似したサービスが広がった。点滴の内容も二日酔い解消だけでなく、時差ぼけ解消や美容、免疫力の増強、脱水予防などさまざまな効果を謳ったものが登場した。

しかし、二日酔いを解消するという点滴の効果について前出のGoldfarb氏は懐疑的だ。「点滴で水分を補給してもアルコールが分解されて生じた毒(アセトアルデヒド)が体外に排出されるスピードが速まるわけではないし、尿の量は増えても排出される毒の量は増えない」と同氏は指摘。ただ、嘔吐や下痢で脱水状態になりそうな人には「点滴で水分を補給するメリットはあるかもしれない」としている。

看護師の資格を持つElaine Wozniak氏は、自身が運営する高齢者施設の一画に点滴ラウンジを設けている。このラウンジで提供しているのは猛暑時の脱水症患者や試合を控えたアスリートに対する水分補給のための点滴で、二日酔い解消を目的とした点滴は行っていない。ただ、「二日酔い解消の点滴を受けた経験がある医療関係の知り合いが全員、点滴を受けラウンジを出る頃にはかなり気分が良くなっていたと話していた」との理由で、同氏は二日酔いに対する点滴の効果はあると考えているという。

これに対し、Goldfarb氏は「二日酔いの改善はプラセボ効果」と見る。別の専門家も、特に料金が高くなるほどプラセボ効果が高まることを指摘している。また、Goldfarb氏は「点滴しなくても通常、二日酔いは数時間のうちに改善するものだ。ラウンジで受付を済ませ、点滴を受けて帰るまでの時間に回復し、それを点滴の効果だと思い込んでいるのではないか」と話している。

さらに、看護師であるWozniak氏のラウンジでは点滴の前に病歴聴取や簡単な診察を行っているというが、「そのような良心的な施設ばかりではない」とGoldfarb氏らは警告。特に心疾患や高血圧がある人には塩分を多く含む点滴液が悪影響を与える可能性があることに同氏は懸念を示している。

前出のGlatter氏も、不適切な処置によって空気塞栓や血管外への点滴液の漏出、感染症のリスクが高まるだけでなく、注入速度を誤ると脳浮腫や心不全、腎障害に至る場合もあることを指摘。安全な処置を適正に行うよう点滴ラウンジに対する規制を強化するとともに、消費者の意識を高める必要があるとの見解を示している。(HealthDay News 2018年1月31日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/alcohol-abuse-news-12/iv-lounges-are-the-latest-health-fad-but-are-they-safe-730646.html

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