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ありふれた環境化学物質が肥満増加に影響か

減量してもその後に体重がリバウンドする要因の一つに、ありふれた有機フッ素化合物が挙げられる可能性のあることが新しい研究で示された。「PLOS Medicine」2月13日オンライン版に掲載されたこの研究によると、フライパンなどの調理器具や食品の包装材、衣類など幅広い製品に使われているパーフルオロアルキル化合物(PFAS)の血中濃度が高いほど、特に女性で減量してもその後に体重が大きくリバウンドすることが分かった。PFSAに曝露すると身体の代謝調節が阻害され、減らした体重を維持できなくなる可能性が考えられるという。

研究を主導した米ハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院栄養学部のQi Sun氏によると、PFASは米国などの先進国で60年以上にわたり使用され、撥水と撥油の性質を併せ持つことから焦げ付き防止のフライパンや撥水性の衣類、汚れにくいカーペットや食品包装材など数多くの製品に用いられている。PFASは環境中で分解されにくく、米国人の多くでは血中にPFASが検出されるという。

過去の基礎研究ではPFASへの曝露と体重増加や肥満との関連が示されており、内分泌攪乱作用を持ち肥満の原因となることからPFASは「オビーソゲン(obesogen)」とも名付けられている。また、その他の研究ではPFASはがんや免疫機能異常、脂質異常と関連する可能性も示されている。

今回の研究は、2000年代半ばに行われた4種類のエネルギー制限食を比べたランダム化比較試験に参加した過体重または肥満の成人男女(30~70歳)621人を対象としたもの。研究開始時には全参加者の血中PFAS濃度を測定し、2年間追跡した。

その結果、参加者の体重は減量開始から最初の6カ月間に平均で6.4kg減少したが、その後6~24カ月の間に平均で2.7kgリバウンドしていた。研究開始時のPFASの血中濃度は現在の体重や最初の6カ月間の減量幅とは関連しなかったが、PFAS濃度は特に女性で減量後の体重増加と有意に関連することが分かった。

研究開始時のPFASの血中濃度で参加者を3つの群に分けて比較したところ、血中濃度が最も高い群では最も低い群と比べてリバウンドした体重が1.7~2.2kg多く、特に女性でこの傾向が強かった。また、研究開始時のPFASの血中濃度が高いほど減量期間中には安静時代謝量(RMR)が低下し、減量維持期にはRMRの増加が抑えられ、1日の消費カロリー量も少ないことも分かった。

Sun氏は、女性でPFASの血中濃度が体重のリバウンドと関連が強かった理由は明らかではないとしているが、「基礎研究からPFASは体重と代謝を制御するホルモン(エストロゲン)の機能に影響することが分かっており、ホルモンが関与している可能性がある」と指摘している。

では、PFAS曝露による体重増加を回避するための解決策はあるのだろうか。Sun氏は「PFASを含まない製品を選べばPFASへの曝露を抑えることはできるが、これほどPFASが汎用されている現代社会では曝露を完全に避けるのは難しい」と述べている。産業界では一部のPFASの使用を削減したり、使用を取りやめる取り組みも進められているが、代替の化合物による健康への影響は明らかにされていないという。

専門家の一人、米ウェイン州立大学のTom Rifai氏は、今回の知見は示唆に富むもので、「大きな問題はPFASが至る所に存在する環境化学物質であるという点にある。曝露による肥満リスクの上昇といった関連が明らかになれば、公共政策でその使用を規制できるようになるだろう」と述べているが、「肥満には不健康な食生活や座りがちな生活などの運動不足による影響が大きいことは明らかだ」と付け加えている。(HealthDay News 2018年2月13日)

https://consumer.healthday.com/environmental-health-information-12/chemical-health-news-730/do-common-household-chemicals-affect-your-weight-731011.html

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