Senior man ith painful arm in sling
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吸入ステロイド薬の長期使用でCOPD患者の骨折リスク上昇か

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療では、症状を緩和するため吸入ステロイド薬による治療が行われることは少なくない。しかし、高用量の吸入ステロイド薬を長期的に使用すると骨折リスクが上昇する可能性があることが、マギル大学(カナダ)のSamy Suissa氏らによる研究で明らかになった。詳細は「Chest」2月号に掲載された。

これまでの研究で、吸入ステロイド薬の使用は特に閉経後の女性の骨密度を低下させる可能性が示唆されていた。ただ、吸入ステロイド薬と骨折リスクとの関連については明確には分かっていなかった。そこでSuissa氏らは今回、吸入ステロイド薬の長期的な使用がCOPD患者の骨折リスクに影響するのかどうか検討するため、ケベック州の住民の医療記録データを用い、1990~2005年にCOPDの治療を開始した55歳以上の男女24万110人を平均で5.3年追跡した。

追跡期間中に1万9,396件の骨折が発生し、うち9,868件は大腿骨近位部、4,707件は上腕、4,821件は橈骨または尺骨の骨折だった。全体的な骨折の発生率は年間で1,000人当たり15.2件だった。

骨折群と年齢、性、追跡期間をマッチさせた骨折していない対照群(骨折1例に対して20例を抽出、計38万4,478人)を対象に解析した結果、吸入ステロイド薬の使用による骨折リスクの上昇は認められなかった(調整後の発生率比は1.00)。しかし、1日にフルチカゾン換算で1,000μg以上の吸入ステロイド薬を4年以上にわたって使用していた患者では、骨折リスクが10%上昇することが分かった(同1.10)。また、こうしたリスクの上昇に男女差は認められなかった。

この研究結果について、一部の専門家は慎重な見方を示している。米ロング・アイランド・ジューイッシュ・フォレスト・ヒルズ病院呼吸器科のWalter Chua氏は「この研究は因果関係を証明したものではなく、骨折リスクの上昇もわずかだ」と指摘。「このデータに基づけば、4年間の高用量吸入ステロイド薬の使用によってCOPD患者241人につき骨折が1件増加するに過ぎない」と説明した上で、「ステロイド薬は骨折リスクをわずかに上昇させる可能性はあるが、そのリスクを管理することは可能だ」と話し、患者に対してパニックに陥らないよう呼び掛けている。

一方、米レノックス・ヒル病院呼吸器科のAnn Tilley氏は、今回の研究では喫煙や肥満の有無のほか身体活動レベルなど骨折リスクに影響する可能性のある因子が考慮されていないことを指摘。ただし、高用量の吸入ステロイド薬の長期的な使用にリスクが全くないとはいえないため、使用する場合はできるだけ最小量にとどめるべきだとしている。患者に対しては「吸入ステロイド薬を使用する必要があるのか、あるとすれば用量を減らせないかを医師に尋ねてほしい」と勧めている。

Chua氏もこれに同意し、「COPDの診断が確定された場合、ステロイド薬を含有する吸入薬の使用は最後の手段とすべきだ。どうしても使用しなければならないのであれば、骨密度と骨折リスクを監視し、必要に応じてこうしたリスクを抑制するための治療を行うことが望ましい」と話している。(HealthDay News 2018年2月13日)

https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/copd-966/widely-used-copd-meds-tied-to-increased-fracture-risk-730966.html

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