カナダのオンタリオ州では2017年1月からメントールたばこの販売が禁止されたが、この禁止措置をきっかけにメントールたばこ喫煙者の約3人に1人が禁煙を試みていたことが新たな調査から明らかになった。この調査を実施したオンタリオたばこ研究ユニット(カナダ)のMichael Chaiton氏らは「メントールたばこ禁止令が一部の人に禁煙を促した」として、喫煙対策の一つとしてメントールたばこの禁止を有望視している。この調査結果は「JAMA Internal Medicine」3月5日オンライン版に掲載された。調査の対象は、過去1年間にメントールたばこを吸った経験があるオンタリオ州在住で16歳以上の男女325人。メントールたばこの販売が禁止される前の2016年9~12月にメントール禁止令に対してどのように対応するのかについて電話で聞き取り調査を行った。また、禁止令の施行から1カ月後、このうちの206人に再調査を実施し、実際にどのように対応しているのか、また今後はどのように対応する予定なのかを尋ねた。.その結果、禁止される前の調査時には回答者の59.7%が「メントール以外のたばこに切り替える予定」と答え、11.2%が「密輸品のメントールたばこを使用する予定」と答えていた。これに対し、「禁煙を試みる予定」としていたのは14.5%にとどまっていた。.しかし、禁止令が施行されてから1カ月後の調査時には、実際にメントール以外のたばこに切り替えた人の割合は28.2%で、禁煙を試みた人の割合は29.1%に上っていた。ただ、14.1%が密輸品のメントールたばこを使用していた。.Chaiton氏は「禁止令が敷かれる前の調査で禁煙する予定だと答えていた喫煙者は15%に満たなかったが、実際に販売が禁止されるとその割合は大幅に増大していた。メントールたばこ禁止令は、一部の喫煙者を禁煙に導く手段の一つとなる可能性はある」と話す。ただし、今回の調査結果は禁止令の直後に実施されたものであるため、今後も調査対象者の行動の変化について追跡する予定だとしている。.メントールたばこのミントの風味や清涼感は喫煙へのハードルを下げ、特に子どもの喫煙につながりやすいことが問題視されている。また、たばこ市場におけるメントールたばこのシェアは、カナダでは5%程度だが米国では約30%に達しているという。.この論文に関する付随論評を執筆した米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のStanton Glantz氏は「この調査結果は、メントールたばこ製品を禁止することによって公衆衛生上のベネフィットが得られるという明確なメッセージを示すもので、極めて重大な政策的含意が導き出されたといえる」と話す。.Glantz氏によると、米国では2016年に米食品医薬品局(FDA)がたばこ製品へのメントールなどの風味付けを規制しようとしたが、オバマ政権がこれを阻止したという。また、2017年6月にはサンフランシスコでメントールを含めたフレーバーたばこを禁止する条例が通過したが、大手たばこ会社RJレイノルズが支援する団体が反対し、一般投票が実施されることになっているという。同氏は「今回のカナダの調査結果はこうした争いに一石を投じるものだ」としている。(HealthDay News 2018年3月7日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/misc-tobacco-health-news-666/ban-menthols-to-help-some-smokers-quit-731704.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
カナダのオンタリオ州では2017年1月からメントールたばこの販売が禁止されたが、この禁止措置をきっかけにメントールたばこ喫煙者の約3人に1人が禁煙を試みていたことが新たな調査から明らかになった。この調査を実施したオンタリオたばこ研究ユニット(カナダ)のMichael Chaiton氏らは「メントールたばこ禁止令が一部の人に禁煙を促した」として、喫煙対策の一つとしてメントールたばこの禁止を有望視している。この調査結果は「JAMA Internal Medicine」3月5日オンライン版に掲載された。調査の対象は、過去1年間にメントールたばこを吸った経験があるオンタリオ州在住で16歳以上の男女325人。メントールたばこの販売が禁止される前の2016年9~12月にメントール禁止令に対してどのように対応するのかについて電話で聞き取り調査を行った。また、禁止令の施行から1カ月後、このうちの206人に再調査を実施し、実際にどのように対応しているのか、また今後はどのように対応する予定なのかを尋ねた。.その結果、禁止される前の調査時には回答者の59.7%が「メントール以外のたばこに切り替える予定」と答え、11.2%が「密輸品のメントールたばこを使用する予定」と答えていた。これに対し、「禁煙を試みる予定」としていたのは14.5%にとどまっていた。.しかし、禁止令が施行されてから1カ月後の調査時には、実際にメントール以外のたばこに切り替えた人の割合は28.2%で、禁煙を試みた人の割合は29.1%に上っていた。ただ、14.1%が密輸品のメントールたばこを使用していた。.Chaiton氏は「禁止令が敷かれる前の調査で禁煙する予定だと答えていた喫煙者は15%に満たなかったが、実際に販売が禁止されるとその割合は大幅に増大していた。メントールたばこ禁止令は、一部の喫煙者を禁煙に導く手段の一つとなる可能性はある」と話す。ただし、今回の調査結果は禁止令の直後に実施されたものであるため、今後も調査対象者の行動の変化について追跡する予定だとしている。.メントールたばこのミントの風味や清涼感は喫煙へのハードルを下げ、特に子どもの喫煙につながりやすいことが問題視されている。また、たばこ市場におけるメントールたばこのシェアは、カナダでは5%程度だが米国では約30%に達しているという。.この論文に関する付随論評を執筆した米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のStanton Glantz氏は「この調査結果は、メントールたばこ製品を禁止することによって公衆衛生上のベネフィットが得られるという明確なメッセージを示すもので、極めて重大な政策的含意が導き出されたといえる」と話す。.Glantz氏によると、米国では2016年に米食品医薬品局(FDA)がたばこ製品へのメントールなどの風味付けを規制しようとしたが、オバマ政権がこれを阻止したという。また、2017年6月にはサンフランシスコでメントールを含めたフレーバーたばこを禁止する条例が通過したが、大手たばこ会社RJレイノルズが支援する団体が反対し、一般投票が実施されることになっているという。同氏は「今回のカナダの調査結果はこうした争いに一石を投じるものだ」としている。(HealthDay News 2018年3月7日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/misc-tobacco-health-news-666/ban-menthols-to-help-some-smokers-quit-731704.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.