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10年前の金融危機、米国人の血圧や血糖にも影響か

2008年のリーマン・ショックに端を発した金融危機は、失業者の増加や賃金の低下だけでなく、米国人の健康にも大きく影響したことが米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デービッドゲッフェン医学部老年医学のTeresa Seeman氏らの研究から明らかになった。金融危機の後、降圧薬や血糖降下薬による治療を受けていた人で血圧値あるいは血糖値が上昇したことが分かったという。この研究結果は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」3月12日オンライン版に掲載された。

2007年から2009年にかけて起こった金融危機は、米国人にさまざまな面で大きな影響を与えた。米国では、経済的な影響を受けたと報告した国民の割合は40歳以上では70%を超え、金融危機は失業率の上昇や不動産価格の下落などをもたらした。老後資金を失ったり、自宅を手放さざるを得なくなったりする人も珍しくなかった。

こうした経済的な打撃に加え、金融危機は米国人の健康にも影響した可能性があると考えたSeeman氏らは、米国の地域住民のコホート研究であるMESA研究の2000~2012年のデータを用い、同研究に参加した地域住民約4,600人を対象に血圧値や血糖値がどのように変化したのかについて検討した。対象者は2008年の時点で50~91歳(平均年齢66.7歳)で、大卒者が約40%を占めており、2004~2005年の時点での持ち家率は約71%だった。

解析の結果、金融危機前に降圧薬を使用していた人のうち、2008年の時点で65歳未満だった人では金融危機後に収縮期血圧(SBP)値が12.65mmHg上昇し、65歳以上だった人では同値は約8mmHg上昇していた。一方、金融危機前に降圧薬を使用していなかった人のうち、65歳未満の人ではSBP値は約4.5mmHg上昇し、65歳以上の人では約2.9mmHg上昇していた。

また、血糖値についても金融危機前に血糖降下薬を使用していた65歳未満の人で悪化度が最も大きく、金融危機後には約10%の上昇が認められた。さらに、血糖降下薬を使用していた65歳以上の人では金融危機後に血糖値は約6%上昇していた。一方、血糖降下薬を使用していなかった人のうち、65歳未満の人では血糖値は約1.5%上昇し、65歳以上の人では同値は約0.5%上昇していた。

このように、65歳未満の人では血圧値や血糖値の悪化度が65歳以上の高齢者を上回っていた理由について、Seeman氏らは「(生産年齢にある)若い世代は仕事を失うことに対する不安が大きいからではないか」と推測している。

このほか、今回の研究では金融危機がきっかけで薬剤の使用を中止した人も多いことが示唆された。具体的には、降圧薬の使用率が65歳以上で17%、65歳未満で6%それぞれ低下し、血糖降下薬の使用率も65歳以上で13%、65歳未満で29%それぞれ低下したことが分かった。

以上の結果を踏まえ、Seeman氏は「われわれが予想していた通り、金融危機は健康に悪影響を与えていた。こうした金融危機によるストレスで苦しむ人には失業手当だけでなく健康を維持するためのケアも必要だ」との見解を示している。

この研究には関与していない米ノースカロライナ大学の循環器医であるRoss Simpson Jr.氏は、「この研究は心血管の健康状態に関連した血圧値や血糖値などの指標にストレスフルな環境が影響することを初めて示したものだ。ストレスフルな状況にある患者では特に心血管のリスク因子に注意する必要があることを再認識させる研究結果ともいえる。医療従事者は、患者が処方された薬剤をきちんと服用し、健康的な食事を取り、運動しているのかを必ず確認すべきだ」と話している。(HealthDay News 2018年3月12日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/blood-glucose-monitor-news-69/great-recession-of-2008-triggered-more-than-financial-woes-731860.html

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