4HDN国内ニュース4月2日配信2
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長時間の残業と睡眠不足で2型糖尿病リスク増 約3万人の会社員を対象に分析、帝京大ら

残業時間が月当たり45時間を超え、かつ睡眠が十分に取れていない人は2型糖尿病になりやすい可能性のあることが、帝京大学大学院公衆衛生学研究科の桑原恵介氏らの研究グループの調べで分かった。一方で、残業時間が月に45時間を超えていても、1日に5時間を超える睡眠を取っているとこうしたリスクは上昇しない可能性も示された。研究グループは「長時間働く人は睡眠不足になりがちだが、睡眠を十分に取ることで長時間労働による健康への悪影響が打ち消される可能性がある。睡眠時間を取るように工夫して欲しい」と話している。詳細は「Journal of Epidemiology」2月3日オンライン版に掲載された。

長時間労働は睡眠不足や心的ストレスとも関連することから、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患リスクを高めると考えられている。しかし、労働時間と2型糖尿病の発症リスクを関連づけるエビデンスは限られており、一定の見解は得られていない。

研究グループは以前、4つの企業に勤める約4万人の会社員(16~83歳)を対象に行った横断研究から、残業時間と糖尿病の有病率はU字型の関連を示したことを報告している(PLOS ONE 2014; 9: e95732)。研究グループは今回、会社員の睡眠状況にも着目し、同じ集団のデータを用いて、労働時間と睡眠時間がそれぞれ、あるいは相互に2型糖尿病リスクに及ぼす影響について前向きに調べる観察研究を行った。

対象は、職域多施設研究(J-ECOHスタディ)に参加した12社のうち4社で、2008年または2010年に健診を受けた会社員3万3,050人(30~64歳、平均年齢は44.9歳、このうち2万8,489人が男性)。対象者を月当たりの残業時間で4つの群に分けて2型糖尿病リスクとの関連を調べ、さらに、生活習慣に関する詳しいデータが得られた1社(2万7,590人)において、月当たりの残業時間(45時間未満または45時間以上)と1日の睡眠時間(5時間未満または5時間以上)で4つの群に分けて、残業時間および睡眠時間と2型糖尿病との関連を調べた。

平均で4.5年間追跡した結果、1,975人が2型糖尿病を発症していた。対象者を月当たりの残業時間で4つの群に分けて解析したところ、最も短い群(40時間または45時間未満)と比べて最も長い群(100時間以上または100時間超)で2型糖尿病リスクに差はみられなかった(ハザード比0.97、95%信頼区間0.64~1.38)。一方で、睡眠時間と2型糖尿病リスクとの間にはU字型の関連がみられた。

また、1社において、残業時間と睡眠時間を組み合わせてこれらの関連をみたところ、複数の交絡因子で調整した解析により、残業が月当たり45時間以上かつ睡眠時間が5時間未満だった人では、残業時間が45時間未満で睡眠時間が5時間以上だった人と比べて、2型糖尿病リスクは1.42倍(ハザード比、同1.11~1.83)に上ることが分かった。一方で、45時間以上の残業をしていても、睡眠時間が5時間以上だった人では2型糖尿病リスクの上昇はみられなかった(同0.99、0.88~1.11)。

これらの結果を踏まえて、研究グループは「全体で見ると、長時間労働は2型糖尿病リスクの上昇と関連しなかったが、長時間労働に睡眠不足が加わるとこのリスクは高まった」と結論づけている。また、「長時間の残業で高まった交感神経の活動は血糖値の上昇を引き起こす可能性がある。交感神経の過剰な活動を抑えるためにも睡眠を十分に取ることが大切だ」と付け加えている。(HealthDay News 2018年4月2日)

Abstract/Full Text
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170024/_article

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