american dollars in the hands
image_print
医療・健康ニュース/パッケージニュース/

中年期に財産失うと死亡リスク1.5倍に

中年期になんらかの理由で財産のほとんどを失う経験をすると、余命が短縮する可能性があることが、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のLindsay Pool氏らの研究から明らかになった。貯蓄や不動産、株などを含む財産の75%以上を失った経験がある人は、財産を安定的に保有している人と比べて全死亡リスクが1.5倍に高まることが分かったという。詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」4月3日号に掲載された。

2007年から始まった金融危機による影響について調べた最近の研究では、失業率が上昇し、住宅の差し押さえ件数も増加したことだけでなく、これらの経済的な打撃を受けた人では抑うつや不安、薬物乱用、自殺などのリスクが高いことも明らかにされている。そこでPool氏らは今回、こうした経済的な損失による健康への影響が大きい可能性が高い中高年層に着目。米国の前向きコホート研究であるHealth and Retirement Study(HRS)のデータを用いて、短期間(2年間)に財産の75%以上を失う「財産ショック(negative wealth shock)」の経験と全死亡リスクとの関連について検討した。

対象は、1994年の研究開始時に51~61歳だった男女8,714人(平均年齢55歳、53%が女性)。追跡期間は20年間だった。財産には貯蓄や退職金、住宅、車、事業、投資など全ての資産が含まれた。追跡期間中に財産ショックを経験していたのは2,430人で、対象者の4人に1人に財産ショックの経験があった。一方、安定的に財産がある人は5,535人だった。残る749人は研究開始時から貧困レベルにあり、財産がなかった。

その結果、追跡期間中の1,000人当たりの死亡率は、安定的に財産がある人の31人に対して財産ショックの経験者では65人で、研究開始時から財産がなかった人(73人)と同程度だった。安定的に財産がある人と比べた全死亡リスクは、財産ショックの経験者で1.5倍、研究開始時から財産がなかった人で1.7倍であることも分かった。

今回の研究では、なぜ財産ショックが寿命を短縮させるのかについては明らかにされていない。しかし、研究を実施したPool氏は「経済的な安定が崩れることによるストレスは、特に中高年の身体的な健康に大きな影響を与えるのではないか」との見方を示している。

また、貯蓄が少ないと医療費や薬剤費を支払うことができなくなる可能性もある。Pool氏は「今回の研究の対象者の多くは公的保険に加入していたと考えられるが、それでも自己負担分を支払うことができない人は少なくないのだろう」と指摘する。さらに、こうした人々は新鮮で健康的な食品を購入する経済的な余裕がなく、安全にウォーキングができる地域ではないため運動する機会も少ないなど、日常面の問題も影響している可能性があるとしている。

ただし、この研究は因果関係を証明するものではない。今回の研究では人口学的な特徴や心疾患、糖尿病、がん、高血圧などの要因は考慮して解析しているが、「もともと健康状態の悪い人は財産を失いやすい可能性はある」とPool氏は付け加えている。(HealthDay News 2018年4月3日)

https://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/anxiety-news-33/when-nest-egg-vanishes-death-risk-rises-732592.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

RELATED ARTICLES