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高齢になっても脳神経細胞は増え続ける

高齢になると脳細胞は減るばかりで増えることはないと一般的に考えられているが、こうした考えを覆す新しい研究結果が「Cell Stem Cell」4月5日オンライン版に掲載された。14~79歳で急死した健康な男女の脳を剖検した結果、高齢者でも若い人と同様に、記憶や学習に重要な役割を担う脳の海馬で前駆細胞から新しい神経細胞(ニューロン)を生成する能力がある可能性が示唆されたという。

これまでマウスやサルなどを用いた基礎研究では、高齢になると脳細胞を新しく生成する能力は失われることが示されているが、ヒトの脳の研究では異なる結果が得られており、結論には至っていない。

今回の研究では、14~79歳で急死した男女28人の脳の海馬を剖検した。対象者には認知症やその他の神経疾患、精神病性障害の診断を受けた人はいなかった。その結果、高齢者と若者の脳では中間型の前駆細胞と未熟な神経細胞がほぼ同数見つかったほか、海馬の容量に年齢で差はみられないことが分かった。

研究を率いた米コロンビア大学准教授のMaura Boldrini氏は「高齢になっても脳内に(神経細胞に分化する)前駆細胞が存在することを示すこの結果は、高齢者にとって朗報だ」と述べている。

ただし、健康な79歳の脳が29歳の若々しい脳と全く同じというわけではなさそうだ。研究では、高齢者の脳は血管新生が少なく、一部の海馬領域では静止期の前駆細胞プールが小さいことも明らかになった。

専門家の一人で米ウェイル・コーネル医科大学のEzriel Kornel氏は「高齢者の脳でも若い人の脳と同じように新しい神経細胞同士で信号を伝達したり、機能したりするかどうかは分かっていない」と指摘する。一方で、同氏はこの研究結果は有望だとも評価しており、「高齢者の脳で神経細胞を生成させ、細胞同士の信号伝達を促進する因子について、さらに研究を進めていく必要がある」と述べている。

また、Kornel氏は、健康な高齢者と認知症の高齢者の脳を比較することにも興味を示している。Boldrini氏もこの意見に同意し、「これまでの研究で、アルツハイマー病で死亡した人の脳の海馬では神経細胞の数が減ることが分かっている。しかし、この理由が、神経細胞が生成されなくなったためなのか、神経細胞が死滅した結果なのかは明らかになっていない」と話す。同氏は、健康な高齢者の脳と認知症患者の脳を比較することで、高齢でも認知機能が衰えない人がいる理由を突き止められる可能性や新しい認知症治療の開発につながる可能性があるとしている。

さらに、Boldrini氏は「高齢になっても若々しい海馬を維持している人が実践している生活習慣を知ることも大切だ」と強調する。アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)によると、多くの研究で喫煙をしない、適正体重や正常血圧を維持する、健康的な食生活を送る、定期的に運動するといった生活習慣因子や社会的活動、知的活動が認知症リスクと関連することが報告されているほか、運動によって海馬の神経細胞の生成が促進される可能性も示されているという。(HealthDay News 2018年4月5日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/brain-health-news-80/older-brains-replenish-cells-just-like-young-brains-study-732668.html

(参考情報)
Abstract/Full Text
http://www.cell.com/cell-stem-cell/fulltext/S1934-5909(18)30121-8

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