1-1 HDN4月16日「パッケージニュース」No.2
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薬が効かない「スーパー淋菌」に警鐘、米専門家ら

今年はじめ、ある英国人男性が一般的に使用されている抗菌薬が効かない「スーパー淋菌」に感染していたことが明らかになり、人々に衝撃を与えた。専門家らは、今後このような多剤耐性淋菌の感染は米国でも広がる可能性があるとして、警鐘を鳴らしている。

英国人男性の「スーパー淋菌」感染の報告は、感染症の専門家の間では想定内だったようだ。米アラバマ大学バーミングハム校のEdward Hook氏は「淋菌感染症の治療に抗菌薬が用いられるようになったころから淋菌は薬剤耐性を獲得し始めていたため、このような事態になることは予想されていた」と説明する。米ノースショア大学病院のBruce Farber氏もこれに同意し、「米国でも薬剤耐性淋菌はさまざまな地域で確認されている。英国で認められた株ほど極端なものではないが、今や米国でも薬剤耐性淋菌は珍しいものではない」と話す。

淋菌感染症は比較的高頻度にみられる性感染症の一つで、世界保健機関(WHO)によると世界の新規感染者数は年間7800万人と推定されている。米国では淋菌感染症は増加傾向にあり、その報告数は2015年から2016年にかけて19%増加したことが米疾病対策センター(CDC)の調査で明らかにされている。

増加の背景について、米ジョンズ・ホプキンズ大学医療安全センターのAmesh Adalja氏は「危険な性行動との関連が指摘されている」と説明。その上で「(英国で認められた)抗菌薬に強い耐性を示す淋菌が米国にも入ってくれば、淋菌感染症が大流行することも考えられる。医師が治療不可能な淋菌感染症の患者に遭遇するようになる可能性は否定できない」と危機感を示している。

前出のHook氏によると、淋菌感染症の患者が最も多いのは15~24歳の若者で、特に性的に活発な人や、複数の性的パートナーがいる人はリスクが高いという。通常は淋菌に感染しても死に至ることはまれだが、女性の不妊や流産のリスクを高めることが分かっている。

なお、「スーパー淋菌」に感染した英国人男性は、アジアで女性と性的関係を持った1カ月後に発症したとされている。発症後、男性は医療機関で第一選択薬の抗菌薬であるアジスロマイシンとセフトリアキソンによる治療を受けたが、効果が認められなかった。Washington Post紙によると、その後男性にはertapenem(日本では未承認)と呼ばれる別の種類の抗菌薬が静脈内投与され、奏功したとみられている。

現在、淋菌感染症の治療に使用できる2種類の新たな抗菌薬が開発中であるという。また、ニュージーランドの研究グループは昨年、MeNZBと呼ばれる髄膜炎ワクチンによって淋菌感染症の感染を約30%予防できたとする研究結果を「The Lancet」で報告している。

淋菌感染症の感染を予防するにはコンドームの使用も有効だ。さらに、淋菌に感染しても症状がみられない場合もあるため、Hook氏らは「一定期間に複数の相手と性行為を経験した人は、症状がなくても性感染症の検査を受けてほしい」と呼び掛けている。(HealthDay News 2018年4月4日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/antibiotics-news-30/super-drug-resistant-gonorrhea-coming-to-u-s-experts-say-732607.html

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