1-1 HDN4月26日「パッケージニュース」No.4
image_print
医療・健康ニュース/パッケージニュース/

薬物過剰摂取者からの臓器提供、米国で急増

オピオイド系鎮痛薬などの過剰摂取が社会的な問題となっている米国で、薬物過剰摂取による死亡者が臓器移植のドナーになるケースが劇的に増加したことが、米ジョンズ・ホプキンス大学のChristine Durand氏らによる調査から明らかになった。調査では、薬物過剰摂取による死亡者から提供された臓器を移植した患者(レシピエント)のアウトカムは良好で、生存期間や臓器の機能は外傷が原因で死亡したドナーの臓器を移植した場合と遜色ないことも分かったという。この調査結果は「Annals of Internal Medicine」4月17日号に掲載された。

Durand氏は今回、2000~2017年の移植患者登録データを用い、米国内で移植医療を実施する297施設で登録された臓器ドナー13万8,565人と移植手術を受けたレシピエント33万7,934人を対象に、ドナーの死因別に見たレシピエントの生存期間および臓器生着率を調べた。ドナーのうち7,313人は薬物過剰摂取で死亡しており、その多くを白人(85.1%)および21~40歳(66.3%)が占めていた。なお、薬物過剰摂取者から提供された臓器の移植件数は1万9,897件(腎臓1万347件、肝臓5,707件、心臓2,471件、肺1,372件)だった。

調査の結果、全ドナーに占める薬物過剰摂取者の割合は、2000年の1.1%から2017年には13.4%に増加していた。レシピエントの標準化5年生存率は、ドナーの死因が薬物過剰摂取の場合でも、外傷や脳卒中などの疾患の場合と同程度だった。また、臓器生着率もドナーの死因が薬物過剰摂取の場合と外傷の場合で同程度であることが分かった。

さらに、提供された臓器が廃棄される例が、薬物過剰摂取による死亡者がドナーの場合には多いことも分かった。

このほか、今回の調査で対象となった薬物過剰摂取者のドナーでは、C型肝炎ウイルス(HCV)感染率が18%で、肝炎ウイルスやHIVなどの感染リスクが高いドナー(increased–infectious risk donors;IRD)に分類された割合も56%と高いことが明らかになった。これに対し、外傷で死亡したドナーではHCV感染率は3%、IRDの割合は14%、疾患で死亡したドナーではそれぞれ4%、9%であった。

Durand氏は「薬物過剰摂取が原因で死亡したドナーから摘出した臓器の使用について、正式な条件はない。しかし、2000年から2017年にかけて薬物過剰摂取者から提供された約2,300もの臓器が廃棄されている。その中には実際にドナーにHCV感染が確認された例だけでなく、注射薬物の使用など危険な行為によるHIVや肝炎ウイルスなどの感染に対する懸念から廃棄された例も含まれているのではないか」との見方を示している。

米国では臓器の供給が不足した状態が続いており、2017年には臓器移植の待機リストに記載されている患者数は12万人を超えていた。しかし、このうち実際に移植手術を受けることができたのは1万人ほどだという。Durand氏は「今回の調査では、薬物過剰摂取によって死亡したドナーの臓器を移植しても良好なアウトカムが期待できることが示された」として、「臓器が不足した状態が続いていることを考えると、臓器の廃棄はできるだけ最低限に抑えるべきだ」と強調している。(HealthDay News 2018年4月17日)

https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/opioids-990/organs-from-opioid-od-victims-are-saving-lives-study-732962.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

,

RELATED ARTICLES