1-1 HDN4月26日「パッケージニュース」No.1
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ある種の降圧薬で女性の膵がんリスク上昇か

高血圧治療に使用されている短時間作用型カルシウム(Ca)拮抗薬が、閉経後女性の膵がんリスクを増大させる可能性があることが、米ベイラー医科大学のZhensheng Wang氏らによる研究から明らかになった。同薬を3年以上使用していた女性では、別の種類の降圧薬を使用していた女性と比べて膵がんリスクが約2倍であることが分かったという。この研究結果は米国がん研究協会の年次集会(AACR 2018、4月14~18日、米シカゴ)で発表された。

対象は、1993年から1998年にかけて実施された女性健康イニシアチブ(Women’s Health Initiative;WHI)に参加した閉経後女性14万5,551人(研究開始時の年齢50~79歳)。このうち841人が2014年8月までに膵がんを発症していた。

1993~1998年に使用した4種類の降圧薬(ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬)と膵がんリスクとの関連について、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて解析した結果、短時間作用型Ca拮抗薬の使用歴がある女性では、別の種類の降圧薬を使用していた女性と比べて膵がんリスクが66%高いことが分かった。また、短時間作用型Ca拮抗薬を3年以上使用した女性では、別の種類の降圧薬を使用していた女性と比べて膵がんリスクが107%高いことも明らかになった。一方、長時間作用型Ca拮抗薬やACE阻害薬、β遮断薬、利尿薬については膵がんリスクの上昇は認められなかった。

今回の研究結果はWang氏にとって予想外だったという。同氏によると、これまでの研究では降圧薬は終末糖化産物 (AGE)の可溶性受容体(sRAGE)の血中濃度を増大させることが示されていた。sRAGEには抗炎症作用があり、その血中濃度が上昇すると膵がんリスクは低下することも分かっているため、むしろ降圧薬によって膵がんリスクは低下すると同氏は予想していた。

では、なぜ今回、短時間作用型Ca拮抗薬を使用した女性で膵がんリスクの上昇が認められたのだろうか。考えられる理由として、Wang氏は「短時間作用型Ca拮抗薬は、さまざまな種類の降圧薬の中では降圧効果が低いため、同薬を使用した多くの女性で血圧管理が不良だった可能性がある。高血圧は膵がんのリスク因子として知られる糖尿病のリスクに影響するため、短時間作用型Ca拮抗薬を使用していた女性では糖尿病リスクが高まっていたのかもしれない」と考察。また、研究では対象者に血液検査を行いsRAGEの血中濃度を測定したが、短時間作用型Ca拮抗薬を使用していた女性では、別の種類の降圧薬を使用していた女性と比べてsRAGEの血中濃度が低かったという。このことから、同氏は「短時間作用型Ca拮抗薬を使用していた女性では、炎症のコントロールが不十分であったためにがんリスクが上昇した可能性も考えられる」としている。

短時間作用型Ca拮抗薬にはニフェジピンやニカルジピン、ジルチアゼムなどがある。ただし、米国立がん研究所(NCI)によると、米国人が生涯に膵がんを発症する確率は1.6%に過ぎず、短時間作用型Ca拮抗薬によってリスクが上昇するとしても、絶対リスクとしてはかなり低い。

Wang氏は、今回の研究結果について「今後、検証する必要がある」としているが、米膵がんアクションネットワークのVictoria Rutson氏もこれに同意した上で、「患者は医師に相談することなく自分の判断で降圧薬の使用を止めるべきでない」と強調している。また、同氏は「もし膵がんの家族歴があり、普段みられないような症状が現れた場合には、消化器専門医を受診してほしい」と助言している。

なお、学会発表された研究結果は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2018年4月17日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/pancreatic-cancer-news-105/some-blood-pressure-meds-tied-to-pancreatic-cancer-risk-in-women-732998.html

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