砂糖や人工甘味料などが添加された炭酸飲料などの加糖飲料に課税する「ソーダ税」を導入した米ペンシルベニア州フィラデルフィア市で、当初の狙い通り加糖飲料の消費量が減少したとする調査結果が「American Journal of Preventive Medicine」4月12日オンライン版に掲載された。同市では2017年1月にソーダ税が導入されたが、導入から2カ月以内に甘い炭酸飲料やエナジードリンクを日常的に摂取する人が減り、ミネラルウォーターなどのボトル入り飲料水を飲む人が増えたという。米国では近年、肥満の一因とされている加糖飲料の消費量を減らすことなどを目的としたソーダ税の導入が広がっている。米国で初めて導入したのは米カリフォルニア州バークリー市だが、フィラデルフィア市はそれに続く二番目の都市としてソーダ税を導入。加糖飲料の価格に1オンス(約30mL)当たり1.5セント(約1.6円)、12オンス(約360mL)のボトルで18セント(約19円)が税金として上乗せされることになった。なお、課税の対象は砂糖や人工甘味料が添加された炭酸飲料やフルーツジュース、エナジードリンクなどの甘い飲料で、ダイエット飲料も含まれる。.今回報告された調査は、米ドレクセル大学公衆衛生学のYichen Zhong氏らがコンピューターで無作為に選んだ番号に電話をかける「ランダム・デジット・ダイヤリング(RDD)」と呼ばれる方法で実施したもの。ソーダ税の導入前(2016年12月6~31日)と導入後(2017年1月15日~2月31日)にフィラデルフィア市民(回答者899人)とソーダ税を導入していない近隣の3都市の市民(同878人)に加糖飲料を飲む頻度や量などについて尋ねた。.その結果、ソーダ税導入から2カ月後までに市民が加糖飲料を日常的に飲んでいる確率は、ソーダ税を導入していない3都市と比べてフィラデルフィア市で40%低かった。また、エナジードリンクを日常的に飲んでいる確率も、3都市と比べてフィラデルフィア市では64%低かった(同0.36)。一方、課税の対象ではないボトル入り飲料水を日常的に飲んでいる確率は、3都市と比べてフィラデルフィア市で58%高かった(同1.58)。.Zhong氏らは「正しい方向に進む第一歩といえるが、(ソーダ税導入による)効果が長期間にわたって持続するかどうかについては現時点ではまだ判断できない」としている。その上で、「フィラデルフィア市のソーダ税の税率は米国内では比較的高く、加糖飲料の価格に課税分を全て上乗せすると約20%の価格上昇につながる」と説明。これに対し、メキシコでは2014年に税率10%で、またバークリー市では2015年に1オンス当たり1セント(約1.1円)でソーダ税が導入され、いずれの地においても加糖飲料の消費量の減少が持続してみられていることを紹介し、価格の上昇によって消費者の行動に影響を与えられる可能性はあることを示唆している。.なお、今回の調査では"Snapple"や"Sunny Delight"といったフルーツ味のジュースは課税対象でありながらも引き続き飲まれている一方で、12オンスの缶入りコーラやダイエットコーラは飲まれなくなってきたことも明らかになった。この点について、Zhong氏らは「含有する糖分の量は炭酸飲料と変わらないが、フルーツ味のジュースは炭酸飲料よりも健康的だという誤解があるのではないか」との見方を示している。.今回の調査報告を受け、米テキサス大学サウスウェスタン臨床栄養学のLona Sandon氏は「課税に反発した市民が一時的に加糖飲料を買わなくなっただけで、ソーダなしではいられないような人は再び買う可能性が高い」と話し、ソーダ税の長期的な効果には懐疑的な見方を示している。同氏は「ソーダ税は以前からそれほどソーダが好きではなかった人や、課税対象となる前から飲むのを控えようと思っていた人には有効かもしれないが、たばこ税や酒税と同様、熱烈なソーダ好きにも影響を与えるためには、相応の税率の引き上げが必要だろう」としている。(HealthDay News 2018年4月12日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/safety-and-public-health-news-585/philly-s-soda-tax-is-working-study-finds-732850.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
砂糖や人工甘味料などが添加された炭酸飲料などの加糖飲料に課税する「ソーダ税」を導入した米ペンシルベニア州フィラデルフィア市で、当初の狙い通り加糖飲料の消費量が減少したとする調査結果が「American Journal of Preventive Medicine」4月12日オンライン版に掲載された。同市では2017年1月にソーダ税が導入されたが、導入から2カ月以内に甘い炭酸飲料やエナジードリンクを日常的に摂取する人が減り、ミネラルウォーターなどのボトル入り飲料水を飲む人が増えたという。米国では近年、肥満の一因とされている加糖飲料の消費量を減らすことなどを目的としたソーダ税の導入が広がっている。米国で初めて導入したのは米カリフォルニア州バークリー市だが、フィラデルフィア市はそれに続く二番目の都市としてソーダ税を導入。加糖飲料の価格に1オンス(約30mL)当たり1.5セント(約1.6円)、12オンス(約360mL)のボトルで18セント(約19円)が税金として上乗せされることになった。なお、課税の対象は砂糖や人工甘味料が添加された炭酸飲料やフルーツジュース、エナジードリンクなどの甘い飲料で、ダイエット飲料も含まれる。.今回報告された調査は、米ドレクセル大学公衆衛生学のYichen Zhong氏らがコンピューターで無作為に選んだ番号に電話をかける「ランダム・デジット・ダイヤリング(RDD)」と呼ばれる方法で実施したもの。ソーダ税の導入前(2016年12月6~31日)と導入後(2017年1月15日~2月31日)にフィラデルフィア市民(回答者899人)とソーダ税を導入していない近隣の3都市の市民(同878人)に加糖飲料を飲む頻度や量などについて尋ねた。.その結果、ソーダ税導入から2カ月後までに市民が加糖飲料を日常的に飲んでいる確率は、ソーダ税を導入していない3都市と比べてフィラデルフィア市で40%低かった。また、エナジードリンクを日常的に飲んでいる確率も、3都市と比べてフィラデルフィア市では64%低かった(同0.36)。一方、課税の対象ではないボトル入り飲料水を日常的に飲んでいる確率は、3都市と比べてフィラデルフィア市で58%高かった(同1.58)。.Zhong氏らは「正しい方向に進む第一歩といえるが、(ソーダ税導入による)効果が長期間にわたって持続するかどうかについては現時点ではまだ判断できない」としている。その上で、「フィラデルフィア市のソーダ税の税率は米国内では比較的高く、加糖飲料の価格に課税分を全て上乗せすると約20%の価格上昇につながる」と説明。これに対し、メキシコでは2014年に税率10%で、またバークリー市では2015年に1オンス当たり1セント(約1.1円)でソーダ税が導入され、いずれの地においても加糖飲料の消費量の減少が持続してみられていることを紹介し、価格の上昇によって消費者の行動に影響を与えられる可能性はあることを示唆している。.なお、今回の調査では"Snapple"や"Sunny Delight"といったフルーツ味のジュースは課税対象でありながらも引き続き飲まれている一方で、12オンスの缶入りコーラやダイエットコーラは飲まれなくなってきたことも明らかになった。この点について、Zhong氏らは「含有する糖分の量は炭酸飲料と変わらないが、フルーツ味のジュースは炭酸飲料よりも健康的だという誤解があるのではないか」との見方を示している。.今回の調査報告を受け、米テキサス大学サウスウェスタン臨床栄養学のLona Sandon氏は「課税に反発した市民が一時的に加糖飲料を買わなくなっただけで、ソーダなしではいられないような人は再び買う可能性が高い」と話し、ソーダ税の長期的な効果には懐疑的な見方を示している。同氏は「ソーダ税は以前からそれほどソーダが好きではなかった人や、課税対象となる前から飲むのを控えようと思っていた人には有効かもしれないが、たばこ税や酒税と同様、熱烈なソーダ好きにも影響を与えるためには、相応の税率の引き上げが必要だろう」としている。(HealthDay News 2018年4月12日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/safety-and-public-health-news-585/philly-s-soda-tax-is-working-study-finds-732850.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.