1-1 HDN5月1日「パッケージニュース」No.1
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血圧による死亡リスク予測能は「ABPM」がベスト

血圧の日内変動を調べることができる24時間自由行動下血圧測定(ABPM)による血圧は、診察室で測定した血圧値(診察室血圧)と比べて5年以内に死亡するリスクを予測する上ではるかに優れた指標となることが、マドリード自治大学(スペイン)のJose Banegas氏らによる研究から明らかになった。同氏は「ABPMによる血圧と診察室血圧との間に認められた死亡リスクの予測能の差は歴然としており、この研究結果はABPMを支持する明白なエビデンスとなる」としている。詳細は「New England Journal of Medicine」4月19日号に掲載された。

ABPMは小型の携帯型血圧計で、血圧を測定するための帯(カフ)を腕に巻き、血圧計は腰に固定して24時間、自由行動下で定期的に血圧を測定するもの。診察室血圧は正常でも、実生活では血圧が高い「仮面高血圧」や、その逆で診察室血圧は高いが実生活では正常値を示す「白衣高血圧」がみられる患者は少なくないが、ABPMであればこうした患者の血圧の変動パターンを見極めることができる。

Banegas氏らは今回、2004~2014年にスペインの223カ所のプライマリケア施設で登録された18歳以上の患者6万3,910人を対象に、診察室血圧およびABPM血圧と、全死亡リスクおよび心血管疾患(CVD)による死亡リスクとの関連について検討した。このうち3,808人が中央値で4.7年間の追跡期間中に死亡した(うちCVDによる死亡は1,295人)。

Cox回帰モデルを用いて心血管リスク因子のほか診察室血圧を調整して解析した結果、ABPMによる収縮期血圧(SBP)が約14mmHg上昇するごとに全死亡リスクが58%上昇することが分かった。一方、診察室血圧の高値も全死亡リスクの上昇と関連していたが、心血管リスク因子に加えてABPM血圧を調整して解析した結果、診察室血圧だけでは患者の全死亡リスクを予測できないことが明らかになった。

また、対象患者の約8%に仮面高血圧がみられ、降圧薬を使用していた患者もいたが、こうした患者は追跡期間中に死亡するリスクが最も高く、全死亡リスクは正常血圧の人の2.83倍だった。さらに、白衣高血圧の患者でも正常血圧の人と比べて全死亡リスクは1.79倍だった。

これまで、専門家の間で白衣高血圧は無害か否かをめぐって議論が続いていたが、Banegas氏は今回の結果を踏まえ「無害ではない」との見解を示している。米国心臓病学会(ACC)心血管疾患予防推進委員会の委員であるEileen Handberg氏もこれに同意し、「白衣高血圧は診察室の中にいるか外にいるかにかかわらず、ストレスを感じた時の血圧を反映したものだと考えられる。白衣高血圧がみられる人は、例えば自動車運転している時に別の自動車に割り込まれた時などにも血圧が上昇する可能性がある」と説明している。

今回の研究論文に関する付随論評を執筆した米ペンシルベニア大学のRaymond Townsend氏によれば、米国では保険が適用されないことが多いなどの理由から、ABPMの普及は進んでいないという。このことから、Handberg氏は今回の研究結果が米国でのABPM導入を後押しすることに期待を寄せている。

では、どのような人がABPMを行うべきなのだろうか。Handberg氏は「本当に高血圧なのかどうか、また使用している降圧薬が効いているかどうかを知るにはABPMを行うのが賢明かもしれない」と話す。また、かかりつけ医がABPMの装置を持っていない場合には「家庭血圧計の使用が次善の策となる」としている。(HealthDay News 2018年4月18日)

https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/blood-pressure-news-70/what-s-the-best-way-to-track-your-blood-pressure-733063.html

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