1-1 HDN5月7日「パッケージニュース」No.3
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負傷した兵士に対する世界初の陰茎と陰嚢の移植術が成功

アフガニスタンで負傷した兵士に対し、世界初となる陰茎と陰嚢の完全移植手術が米ジョンズ・ホプキンス大学で実施されたことが明らかになった。手術チームの一員で同大学形成再建外科教授のW. P. Andrew Lee氏は「今回の移植によってこの若者の排尿機能や性機能が正常に近い状態まで回復することを期待している」と話している。

同大学のプレスリリースによると、移植手術が実施されたのは3月26日。9人の形成外科医と2人の泌尿器外科医で構成されたチームが担当し、手術時間は14時間に及んだ。手術では死亡したドナーの陰茎と、睾丸を除いた陰嚢、腹壁の一部が移植された。手術は皮膚、筋肉、関節、神経、骨、血管の移植を伴うものだった。

移植手術を受けた元兵士は「信じ難い負傷に苦しむことになり、簡単に受け入れることはできなかった」と話し、術後には「眼が覚めたとき、自分はもう大丈夫だという自信が持て、ようやく以前よりも普通の状態になれたと感じた」と振り返っている。

「The New York Times」によると、元兵士は地雷の爆発で負傷した。しかし、それよりも彼に大きな打撃を与えたのは、生殖器の負傷だった。彼は同紙に「この怪我によって、パートナーを持つことができなくなったと感じた。自分自身を男だと認識することさえ難しかった」と語っている。一方、手術チームの一員であるLee氏は、同紙に対して「自発的な勃起やオーガズムといった面で、性機能を回復させられるものと期待している」と話している。

ただし、今回の移植手術では睾丸の移植は行われなかった。もし睾丸も移植していれば、元兵士はドナーの精子によって子どもを持てる可能性もあったが、倫理的に問題があると判断された。そのため、元兵士は現在、本来であれば睾丸で分泌される男性ホルモンであるテストステロンの補充療法を受け、勃起機能を高めるために勃起不全治療薬のシアリス(一般名タダラフィル)を使用している。また、他の移植手術と同様、移植した組織に対する拒絶反応のリスクを抑えるための免疫抑制薬も使用しているという。

Lee氏によると、身体の別の組織を使用して陰茎を再建することは可能だが、勃起を可能にするには移植が必要だった。ただ、移植した陰茎の場合、感染リスクがより高まるという。また、負傷した兵士の場合、身体の他の部分も損傷があるため陰茎の再建に使用できる組織が足りない例が多く、今回も移植が唯一の選択肢だったとしている。この移植手術に適切なドナーが見つかるまで1年以上かかった。また、手術費用は推定で30万~40万ドルだが、今回はジョンズ・ホプキンス大学が費用を負担し、手術チームは無償で手術を担当したと「The New York Times」は報じている。

移植手術を受けた元兵士は負傷後、心理的に厳しい状態に陥り、生殖器を失ったことは周囲のほとんどの人に秘密にしていたと振り返る。「仲間と負傷について話しているとき、爆弾が爆発したらまず下半身を確認して、もし(生殖器が)なかったら自殺すると思う、といった話が出ることがあった。仲間たちは自分の状況を知らなかったし、彼らに悪意がなかったのも分かっているが、やはりショックだった」と元兵士は胸の内を明かす。

一時期は自殺を考えたこともあったという元兵士だが、思い直し、理学療法を受けて義足で歩行する訓練に励み、負傷から数年で大学の学位を取得。現在、彼は医学部で学ぶ計画を立てているという。目標について尋ねられると「学校で良い成績を収め、医学部に進んで医師としてキャリアを積み、自分の得意分野で活躍することだ」と答え、私生活については「いずれはパートナーを見つけて落ち着きたい。そんなごく普通のことだ」と話している。(HealthDay News 2018年4月23日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/organ-transplant-news-509/injured-u-s-vet-receives-world-s-first-penis-scrotum-transplant-733207.html

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