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プロジェリア治療に新たな希望

Hutchinson-Gilford Progeria症候群(以下、プロジェリア)は急速に老化が進む早老症の一つで、約2,000万人に1例の発症をみるまれな疾患である。この極めてまれで致命的な疾患に対するファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬(farnesyltransferase inhibitor; FTI)、lonafarnibの有効性が示され、予備報告として「Journal of the American Medical Association(JAMA)」4月24日オンライン版に掲載された。

プロジェリアの原因は、ヒト常染色体にあるラミン(LMN)A遺伝子の変異によるものであり、プロジェリン(progerin)というタンパクが過剰に産生され、急速な進行性の細胞損傷が起こる。心血管、骨格系が傷害され、終末期には致死的な心疾患に至り、平均余命は14.5歳と言われている。いまだプロジェリアを治す薬剤や治療法は見つかっていない。

非営利団体プロジェリア研究財団(Progeria Research Foundation)の共同創立者で、米ブラウン大学ウォーレン・アルパート医学校特任教授のLeslie Gordon氏らは、6大陸にわたる250人以上のプロジェリア患児を追跡し、lonafarnibによる治療が生存期間を延長するかどうかを調べた。lonafarnibは、もともとはがん治療薬として開発され、プロジェリンの産生に欠かせない酵素の活性を阻害することが知られている。具体的には、酵素がプロジェリンと結合するのを阻止することによって、プロジェリンが患者の細胞膜に付着し傷害を起こすのを防ぐ。

今回の観察コホート研究では、経口lonafarnib錠(150mg/m2、1日2回投与)による単独療法を行ったプロジェリア患児27人と、試験に参加しておらず年齢や性別、居住地を一致させた未治療のプロジェリア患児103人を対照群として、Cox比例ハザード回帰モデルにより生存時間を解析し、比較した。その結果、中央値で2.2年の追跡期間中、死亡率はlonafarnib投与群で3.7%(1人)であったのに対し、未治療群では33.3%(9人)であり、投与群で著しく低いことが分かった。lonafarnibによる副作用は下痢、吐き気、食欲不振などで、主に治療開始から最初の数カ月までにみられた。

この研究では別の患児36人を対象とした第2グループでの治療が現在進行中であり、今までのところ第1グループと第2グループ、計63人のlonafarnibで治療した患児のうち死亡は6.3%(4人)であるが、治療を受けていない患児63人では27.0%(17人)が死亡した。

自らもプロジェリア患児の母であったGordon氏は「lonafarnibは疾患を完治させるものではない」と強調しながらも、「プロジェリアの子どもの余命を延ばす薬剤の単独治療として初めて裏付けが得られた」と述べている。lonafarnibはいまだ米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けていないため治療にかかる費用は不明であるが、製造元であるメルク社は試験対象者には無償で薬剤を提供するという。また、Gordon氏の財団は患者の家族が経済的負担なしに同薬を入手できるように国に求めていくつもりだとしている。財団によれば、現在45カ国で144人の症例登録がある。

米オハイオ州生まれのCarly Kudziaちゃんは、2011年、生後10カ月のときにプロジェリアと診断された。母親のHeather Unsingerさんによれば、現在のCarlyちゃんは一般の7歳児とほとんど変わらない、ウィットに富み、エネルギッシュで活発な子だという。Unsingerさんは、lonafarnibがあなたにとってどのような意味を持つかという問いに対し、「娘とともに過ごせる時間が延びること」と話し、今回の研究結果は「純粋な希望でしかなかった考えを、部分的であれ現実に変えるものです」と付け加えている。「薬を1回飲むたびに娘の余命が数分、数時間と延びていると想像し、完治の方法が見つかるまでの時間を与えられていると感じています」と、Unsingerさんは話している。(HealthDay News 2018年4月24日)

https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/misc-aging-news-10/new-hope-against-disease-that-prematurely-ages-children-733221.html

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修正履歴

2018年5月10日、記事の一部を修正しました。(編集部)

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