1-1HDN5月10日「パッケージニュース」No.3
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有効性低いインフルワクチンでも死亡者6万人減

有効性が低いインフルエンザワクチンでも、米国民の約40%が接種することでインフルエンザ感染者は2100万人減り、インフルエンザによる入院者数が約13万人、死亡者が約6万人減ることを示した研究結果が「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」4月30日オンライン版に発表された。この研究を実施した米イェール大学公衆衛生大学院のPratha Sah氏らは「インフルエンザから人々の命を守るためには、ワクチンの有効性の程度よりも、どれだけ多くの人がワクチンを接種するかの方が重要であることが明らかになった」としている。

インフルエンザワクチンの有効性は毎年異なる。2017~2018年シーズンのワクチンの有効性は例年よりも低く、重篤なH3N2型に対する同シーズンのワクチンの有効性はわずか25%と推定されているが、今回の研究結果を踏まえSah氏は「ワクチンの有効性がさらに低かったとしても、ワクチン接種によって数万人の命が救われるはずだ」と指摘している。

Sah氏らは今回、インフルエンザワクチンの有効性が低かった場合の集団における感染者数やインフルエンザに関連した入院者数および死亡者数などへの影響について、コンピューターモデリングを用いて分析した。その結果、誰もインフルエンザワクチンを接種しなかった場合、通常の流行レベルでも1回のインフルエンザシーズンに約7700万人が感染し、約13万人が死亡し、約47万人が入院すると推定された。しかし、ワクチンの有効性がわずか20%であっても、米国民の43%がインフルエンザワクチンを接種すれば、誰もワクチンを接種しなかった場合と比べて死亡者数が半減することが分かった。

また、米国民のワクチン接種率を50%にまで高めることができれば、インフルエンザによる死亡者数をさらに8,400人以上減らすことができ、感染者数も追加で約360万人、入院者数も追加で約2万2,000人減らすことができると推定された。

さらに、Sah氏らは今回の研究で、ワクチンの接種率と有効性のどちらがインフルエンザによる死亡者数により強く影響するのかについても比較検討した。その結果、ワクチンの有効性が40%の場合、接種率が40%から20%に低下するとインフルエンザによる死亡者が3万9,738人増加すると推定された。一方、ワクチンの有効性が40%から20%に低下し、接種率を40%に維持した場合では、インフルエンザによる死亡者は2万8,343人の増加にとどまっていた。

このことから、集団におけるワクチン接種の有効性とは、ワクチンそのものの効果よりも接種率の方が重要であることが示された。Sah氏によると、この結果は多くの人がワクチンを接種して免疫を獲得することで、感染者が出ても感染の拡大を食い止めることができるという「集団免疫」の重要性を示すものだという。

専門家の一人で米ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院医療安全センターのAmesh Adalja氏は、この研究を高く評価する。「たとえ有効性がわずかでも、ワクチン接種によってインフルエンザのシーズン中に多くの命を救える可能性があることを明確に示した重要な研究だ」としている。また、同氏は「医師は、インフルエンザウイルスの感染が広がりやすい層をターゲットにワクチン接種を推し進める必要性がある」と指摘している。

では、具体的にはどのような層でワクチンの接種を推進すべきなのだろうか? Sah氏は、「30~39歳の男女」をワクチンの接種率を向上させるべき層として挙げている。同氏によると、この年齢層はワクチン接種率が最も低い一方で、子どもや高齢の両親と接する機会も多いため、インフルエンザウイルスの“橋渡し役”になりやすい。小児と高齢者はインフルエンザの感染リスクや死亡リスクが特に高い層であることから、同氏は「若い成人は、自分自身のためだけでなく、家族や愛する人のためにもワクチンを接種すべきだ」と強調している。(HealthDay News 2018年4月30日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/even-a-bad-flu-vaccine-could-save-61-000-lives-study-733436.html

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