2型糖尿病を持つ10歳代女児の5人に1人に月経不順がみられることが、「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」4月24日オンライン版に掲載の論文で報告された。研究者らは、生理周期が不規則になると大量出血や月経痛(生理痛)の原因になるだけでなく、月経不順が長期にわたると子宮内膜がんのリスクが上昇する可能性もあると指摘している。米コロラド大学医学部准教授のMegan Kelsey氏らによる研究チームは今回、インスリン感受性を高めることで血糖降下作用を発揮する糖尿病治療薬のメトホルミンに着目。米国の10~17歳の2型糖尿病患者699人を対象に、メトホルミン単独投与とrosiglitazone(ロシグリタゾン、国内未発売)あるいは生活習慣介入プログラムを併用した場合の血糖コントロールへの効果を検討したTODAY研究(Treatment Options for Type 2 Diabetes in Adolescents and Youth Study)のデータを用いて、研究に参加した小児から思春期の女児を月経不順の有無で分け、メトホルミンによる治療が月経周期や性ステロイドホルモンの血中濃度に与える影響について調べた。.対象は、TODAY研究に参加し、ピルなどのホルモン避妊薬や子宮内避妊器具(IUD)を使用していなかった2型糖尿病の女児190人。平均年齢は14歳で、糖尿病罹病期間は5~6年であった。月経不順の定義は過去6カ月以内の月経回数が3回以下とした。なお、rosiglitazone併用群と生活習慣介入を併用した群では、血糖コントロール状況に差はみられなかった。.その結果、対象とした女児の21%(39人)に月経不順が認められた。月経不順を呈した群では、正常月経だった群と比べてBMIが高く、肝機能検査(AST)の数値が高かったほか、男性ホルモン(総テストステロン)の血中濃度が高く、女性ホルモン(エストラジオール)の血中濃度は低いことが分かった。一方で、インスリン分泌やインスリン感受性には両群間で差はみられなかった。そのため、Kelsey氏らは「月経不順の原因は2型糖尿病にはない可能性がある」と述べている。.さらに、メトホルミンによる治療と生活習慣への介入はともに月経不順の改善をもたらさないことも分かった。これらの結果から、同氏らは「月経不順には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と呼ばれるホルモン障害が関与している可能性が高い」と指摘する。PCOSがあると2型糖尿病と同様に過体重になりやすく、インスリン抵抗性を伴うケースも多い。また、同氏によると、PCOSの徴候を示す女児は肝機能異常を伴うことも多く、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を発症するリスクが高い可能性が示唆されるという。.専門家の一人で、米ニューヨーク大学ウィンスロップ病院の Siham Accacha氏は「メトホルミンの作用は、PCOS症状の一つであるインスリン抵抗性に限られるため、PCOSに対する最善の治療法ではないと考えられる。PCOSへの最大の介入法としては減量が挙げられ、これはインスリン抵抗性の有無や程度にかかわらず有効な方法だと思われる」と述べている。(HealthDay News 2018年4月25日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/can-type-2-diabetes-lead-to-irregular-periods-for-teen-girls-733260.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
2型糖尿病を持つ10歳代女児の5人に1人に月経不順がみられることが、「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」4月24日オンライン版に掲載の論文で報告された。研究者らは、生理周期が不規則になると大量出血や月経痛(生理痛)の原因になるだけでなく、月経不順が長期にわたると子宮内膜がんのリスクが上昇する可能性もあると指摘している。米コロラド大学医学部准教授のMegan Kelsey氏らによる研究チームは今回、インスリン感受性を高めることで血糖降下作用を発揮する糖尿病治療薬のメトホルミンに着目。米国の10~17歳の2型糖尿病患者699人を対象に、メトホルミン単独投与とrosiglitazone(ロシグリタゾン、国内未発売)あるいは生活習慣介入プログラムを併用した場合の血糖コントロールへの効果を検討したTODAY研究(Treatment Options for Type 2 Diabetes in Adolescents and Youth Study)のデータを用いて、研究に参加した小児から思春期の女児を月経不順の有無で分け、メトホルミンによる治療が月経周期や性ステロイドホルモンの血中濃度に与える影響について調べた。.対象は、TODAY研究に参加し、ピルなどのホルモン避妊薬や子宮内避妊器具(IUD)を使用していなかった2型糖尿病の女児190人。平均年齢は14歳で、糖尿病罹病期間は5~6年であった。月経不順の定義は過去6カ月以内の月経回数が3回以下とした。なお、rosiglitazone併用群と生活習慣介入を併用した群では、血糖コントロール状況に差はみられなかった。.その結果、対象とした女児の21%(39人)に月経不順が認められた。月経不順を呈した群では、正常月経だった群と比べてBMIが高く、肝機能検査(AST)の数値が高かったほか、男性ホルモン(総テストステロン)の血中濃度が高く、女性ホルモン(エストラジオール)の血中濃度は低いことが分かった。一方で、インスリン分泌やインスリン感受性には両群間で差はみられなかった。そのため、Kelsey氏らは「月経不順の原因は2型糖尿病にはない可能性がある」と述べている。.さらに、メトホルミンによる治療と生活習慣への介入はともに月経不順の改善をもたらさないことも分かった。これらの結果から、同氏らは「月経不順には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と呼ばれるホルモン障害が関与している可能性が高い」と指摘する。PCOSがあると2型糖尿病と同様に過体重になりやすく、インスリン抵抗性を伴うケースも多い。また、同氏によると、PCOSの徴候を示す女児は肝機能異常を伴うことも多く、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を発症するリスクが高い可能性が示唆されるという。.専門家の一人で、米ニューヨーク大学ウィンスロップ病院の Siham Accacha氏は「メトホルミンの作用は、PCOS症状の一つであるインスリン抵抗性に限られるため、PCOSに対する最善の治療法ではないと考えられる。PCOSへの最大の介入法としては減量が挙げられ、これはインスリン抵抗性の有無や程度にかかわらず有効な方法だと思われる」と述べている。(HealthDay News 2018年4月25日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/can-type-2-diabetes-lead-to-irregular-periods-for-teen-girls-733260.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.