1HDN5月17日「パッケージニュース」No. 4

「低気温+PM2.5」で女性の心臓突然死リスク倍増

健康な女性が、気温が低い日に大気汚染物質である微小粒子状物質(PM2.5)に曝露すると、心臓突然死(SCD)のリスクが2倍以上に高まることを示した研究結果が米国不整脈学会の年次集会(Heart Rhythm 2018、5月9~12日、米ボストン)で発表された。この研究では、PM2.5に曝露するだけでもSCDリスクは上昇するが、特に気温が華氏55度(摂氏約13度)を下回るとPM2.5への曝露による同リスクが急激に上昇することが示されたという。

この研究は、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のJaime Hart氏らが実施したものである。Hart氏らは米国の女性看護師を対象としたコホート研究(Nurses’ Health Study;NHS)の参加者11万2,061人を対象に、1999~2011年のデータを分析した。1日当たりのPM2.5への曝露量と平均気温は参加者の自宅住所に基づき調べ、SCDが発生した日のPM2.5への曝露量をSCDが発生していない同じ曜日の日の曝露量と比較した。

追跡期間中にSCDは221件発生していた。解析の結果、PM2.5の曝露量が増加するにつれてSCDリスクが22%上昇することが分かったが、さらに気温が摂氏13度を下回った日にPM2.5に曝露すると、SCDリスクは約2.6倍になることが示された。また、摂氏3.8度以下でPM2.5に曝露するとSCDリスクは約2倍になった。一方、摂氏13度以上ではSCDリスクの上昇は認められなかった。

Hart氏によると、女性が既に心疾患を有していたかどうかはこの結果には影響していないとみられ、年齢や体重、喫煙習慣といった要因もSCDリスクには関与していないとしている。なお、今回の研究はPM2.5とSCDとの関連性を見つけるためにデザインされたもので、低気温とSCDリスクとの因果関係は明らかになっていないという。

また、今回の研究では対象となった女性11万2,061人のうち追跡期間中にSCDに至ったのはわずか221人であったとして、Hart氏は「パニックに陥る必要はない。集団レベルでは問題になるが、実際に個人がSCDに至るリスクは極めて低い」と説明している。

一方で、同氏は今回の研究ではPM2.5の曝露量が米環境保護庁(EPA)の基準値(35g/m3)を下回るレベルでもSCDリスクの上昇が認められたことから、「現行の基準では安全性が不十分だと考えられる」と指摘している。

今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学ウィンスロップ病院循環器科長のKevin Marzo氏は「低気温と大気汚染という2つの条件が重なることで炎症レベルがより高まるほか、寒いと血管が収縮するため、十分な血液が供給されなくなる可能性が考えられる」と考察。これらの条件が重なることで「健康な女性であっても最悪の事態がもたらされる可能性はある」としている。

なお、今回の研究は女性のみを対象としたものだったが、Hart氏は「男性でも同様の結果が得られる可能性が高い」との見方を示している。ただし、学会で発表された知見は、論文審査のある医学雑誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2018年5月8日)

https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/air-pollution-health-news-540/chilly-smoggy-days-may-be-hazardous-for-some-women-s-hearts-733691.html

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