1HDN5月17日「パッケージニュース」No. 3
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健康な人の細菌を皮膚に移植、アトピー治療に有望

健康な人の皮膚上に常在している有用な細菌を採取して患者の皮膚に移植するという治療が、アトピー性皮膚炎(湿疹)の画期的な治療法となり得ることが、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のIan Myles氏らによる第I相/II相試験から明らかになった。この治療を受けたアトピー性皮膚炎患者では、皮疹などの症状が改善し、ステロイド外用薬の使用量を減らすことができたという。この研究結果は「JCI Insight」5月3日オンライン版に掲載された。

アトピー性皮膚炎は、QOL(生活の質)の低下、医療費の増加、喘息やアレルギー性鼻炎、食物アレルギーの発症リスク増加に関連する炎症性皮膚疾患である。その原因は明確には分かっていないが、皮膚常在菌や微生物が群集する微生物叢が、重要な役割を果たしていると考えられている。

今回の研究に先立ちMyles氏らが実施したマウスおよび細菌培養モデルを用いた前臨床研究では、健康な人から採取した皮膚常在菌Roseomonas mucosa(R. mucosa)の移植によってアトピー性皮膚炎の症状が改善した。一方で、アトピー性皮膚炎患者の皮膚から採取したR. mucosaを移植すると、症状は変わらないか、悪化したという。そこでMyles氏らは、ヒトを対象にこの治療法の安全性と有効性を検証するため、NIAIDの助成を受けて今回の研究を実施した。

Myles氏らはまず、アトピー性皮膚炎の成人患者10人に、R. mucosaを加えたショ糖水溶液を1週間に2回、6週間にわたって肘の内側と患者が選んだ皮膚の部位に噴霧してもらった。次に、9~14歳の小児患者には症状の出ている全ての部位に、1週間に2回、12週間にわたってこの水溶液を使用してもらい、その後は使用頻度を1日おきに増やし、4週間にわたって続けてもらった。R. mucosaは健康な人の皮膚から単離し、注意深く制御された実験室で培養した細菌株を使用した。また、試験に参加した患者は、ステロイド外用薬やほかの薬剤を含む通常の治療を続けるよう指示された。

その結果、成人患者10人中6人、また小児患者5人中4人で試験終了時に症状の重症度が50%以上軽減し、一部の患者では治療をやめた4週間後にステロイド外用薬の使用量を減量できた症例もあった。副作用や合併症の報告はなかった。

また、今回の研究で、スキンケア製品の多くに含まれるパラベンと呼ばれる防腐剤や保湿剤のいくつかがR. mucosaの成長を阻害することも分かった。このことから、特定のスキンケア製品を使用するとアトピー性皮膚炎が悪化し、皮膚の微生物叢に基づく治療法の有効性に影響を及ぼす恐れがあることを同氏らは指摘している。

今回の研究結果について、専門家の一人で米レノックス・ヒル病院の皮膚科医であるMichele Green氏は「将来、数多くのアトピー性皮膚炎患者に新たな治療を提供できる可能性を秘めた結果だ」と高く評価。また、「最も素晴らしいのは、皮膚の細菌叢そのものを通じて(アトピー性皮膚炎を)治癒に導くことができるかもしれないという点だ」と話している。

また、NIAID所長のAnthony Fauci氏は「現行の治療法は症状の管理には役立つが、1日に何回も薬剤を塗布する必要があるため、時間的な負担が大きく治療費が高額になることもまれではない。アトピー性皮膚炎の治療選択肢を広げるためにも、安価で使用頻度も少なくて済む新たな治療法が求められる」と話している。(HealthDay News 2018年5月3日)

https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/eczema-news-618/skin-s-good-bacteria-may-be-promising-weapon-against-eczema-733506.html

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