1HDN5月21日「パッケージニュース」No. 3
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圧迫骨折の骨セメント注入療法、効果に疑問符

脊椎圧迫骨折に対する治療法として広く実施されている、経皮的椎体形成術(PVP)の効果に疑問符を投げかけるランダム化二重盲検比較試験(VERTOS IV試験)の結果が「BMJ」5月9日オンライン版に発表された。

PVPとは圧迫骨折の痛みを軽減するために経皮的に骨セメントを穿刺して椎体に注入する手術法で、即効性が高く侵襲性が低いとされている。しかし、この試験では、PVPを実施しても偽手術を上回る疼痛緩和効果が認められなかったという。

試験を実施したエリザベス-トゥウェーステーデン病院(オランダ)のPaul Lohle氏らによると、骨粗鬆症が原因の骨折が最も高頻度に発生するのは脊椎で、こうした骨折は骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折と呼ばれる。脊椎圧迫骨折があると、骨の変形や呼吸器系の問題がみられ、身長が縮む場合もある。PVPは骨折した部位を安定させ、疼痛を緩和するために骨セメントを骨折部位に注入する治療法だが、これまでのPVPに関する研究では一致した結果が得られておらず、有効性やリスク、費用対効果の観点からPVPに否定的な見解もあった。

そこで、Lohle氏らは今回、2011~2015年にオランダの病院4施設で急性の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に伴う疼痛に対するPVPの効果を偽手術と比較検討する試験を実施した。参加者1,280人の中から、50歳以上で1~3カ所の圧迫骨折があり、Visual Analogue Scale (VAS)で評価した疼痛スコアが5以上であった骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折患者180人のうち、91人をPVP群、89人を偽手術群にランダムに割り付けた。なお、両群ともに局所麻酔を実施した。

主要評価項目は術後1日目、1週間後、1および3、6、12カ月後の疼痛スコアの変化量とし、ベースラインから1.5ポイント低下した場合を「臨床的に意義のある疼痛の緩和」と定義した。副次評価項目は12カ月間の障害やQOL(生活の質)に関する評価スコアの変化量の群間差とした。

その結果、PVP群と偽手術群のいずれにおいても、術後の全ての評価時点でベースライン時と比べた疼痛スコアの有意な改善が認められた。しかし、12カ月間の追跡期間における疼痛スコアの変化量については、PVP群と偽手術群との間に有意差はなかった。また、障害やQOLの評価スコアについては両群ともに有意な変化は認められなかった。鎮痛薬の使用量は両群ともに全ての評価時点でベースライン時から減少していた。有害事象はPVP群で2件発生し、1件は呼吸不全、もう1件は血管迷走神経反応だった。

以上の結果を踏まえ、Lohle氏らは「今回の試験では、骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折患者の疼痛に対する標準的な治療法としてPVPを実施することを支持する結果は得られなかった」と同誌のプレスリリースで説明している。

一方、この試験の報告を受け、米スタテン・アイランド大学病院の整形外科医であるQusai Hammouri氏は「質が高く、優れた手法で実施された素晴らしい研究だ。この研究によって、医師はPVPによる疼痛管理について有用な情報を得ることができるだろう」と称賛している。ただし、同氏は「腰が曲がった高齢者の姿勢が改善するなど、PVPによる姿勢への効果を含めた長期的な有効性については今回の研究では明らかにされていない」として、さらなる研究が必要だとの見解を示している。

また、米レノックス・ヒル病院の整形外科医であるNathaniel Tindel 氏は、PVPの実施例で報告されている合併症の中には深刻な例もあり、致死的な合併症が発生する可能性も否定できないと指摘。「PVPによる治療を検討している患者は、PVPの効果には限界があること、合併症の可能性があることを十分理解しておく必要がある」と強調している。(HealthDay News 2018年5月10日)

https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/fracture-health-news-322/more-doubt-cast-on-surgery-for-spinal-compression-fractures-733717.html

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