1HDN6月14日「パッケージニュース」No. 3
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子どもへの性的虐待、経済的な影響も甚大

子どもへの性的虐待は、その後の子どもの人生に大きな影響を与えることが分かっているが、この問題は国全体の経済にも甚大な影響をもたらすことが米ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のElizabeth Letourneau氏らによる研究から明らかになった。全米の児童保護機関のデータを分析した結果、米国で2015年に性的虐待の被害に遭った子どもたちにかかる生涯医療費や生産性の損失などによる経済的な損失額は約93億ドル(約1兆円)と推定されたという。詳細は「Child Abuse and Neglect」5月号に掲載された。

Letourneau氏らは今回、子どもへの性的虐待による経済的な影響について検討するため、全米の全ての児童保護機関のデータを分析し、性的虐待の被害に遭った子どもたちにかかる生涯医療費や児童福祉関連費、特殊教育費、暴力や犯罪、自殺に関連した費用、生産性の損失、質調整生存年(Quality- adjusted Life Year;QALY)を推定した。

2015年に報告された子どもの性的虐待は4万387件で、被害児童の75%は女児だった。被害児童一人当たりの生涯の経済損失額は、死に至った場合は女児で112万8,334ドル(約1億2400万円)、男児では148万2,933ドル(約1億6400万円)で、死に至らなかった場合は女児で28万2,734ドル(約3100万円)、男児では7万4,691ドル(約820万円)だった。

なお、Letourneau氏らによれば、子どもへの性的虐待は通報され明るみになっていない例も多く、報告数は実際よりも少ない可能性があるという。また、今回の研究では、性的虐待後に生存した子どもにかかる経済損失額には大きな性差がみられたが、「男児に対する性的虐待について十分なデータがなかったためではないか」と同氏は説明している。

性的虐待が子どもの精神面や身体的な健康に計り知れない影響をもたらすことは明白だが、Letourneau氏は「その事実だけでは防止策の拡充にはつながらない」と指摘する。同氏は「性的虐待を受けた後の対策ばかりでなく、被害の発生自体を防止することが重要だ」とした上で、「今回の研究で、子どもへの性的虐待がいかに国に重い財政負担を強いているのかを信頼性の高い推計値で示すことで、政策立案者が防止策の普及に力を入れる契機になると期待している」と話している。

Letourneau氏らによれば、子どもへの性的虐待による影響は子どもが成人した後も長期的に続くことが、これまでの研究で明らかにされている。また、性的虐待を受けた子どもは、性感染症、暴力や自傷行為、薬物乱用といった問題を抱えるリスクも高いことを示した研究もあるとしている。(HealthDay News 2018年6月4日)

https://consumer.healthday.com/sexual-health-information-32/abuse-and-rape-news-604/tragedy-of-child-sexual-abuse-takes-financial-toll-too-734127.html

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