1HDN6月18日「パッケージニュース」No. 4
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開発中のHIVワクチン、臨床試験も視野に

開発中のHIVワクチンによって、数多くのヒト免疫不全ウイルス(HIV)株を中和する抗体を誘導したとする研究結果が「Nature Medicine」6月4日オンライン版に発表された。この研究はマウスやモルモット、サルを用いた動物実験の段階だが、この結果を受け、2019年後半にもヒトを対象とした同ワクチンの臨床試験が開始される見込みだという。

今回の研究は、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)ワクチン研究センターのPeter Kwong氏らが実施したもの。NIAIDのプレスリリースによると、同氏らの研究では、まず数多くのウイルス株を中和する強力なHIV抗体を同定し、次に抗体が結合するHIVタンパク質の断片(エピトープ)の構造に基づいたワクチンによってこれらの抗体を誘導する、というアプローチが取られた。

このエピトープはHIV融合ペプチド(fusion peptide)と呼ばれるもので、研究グループは2016年にもHIVワクチンの標的としてHIV融合ペプチドが有望であることを報告している。この融合ペプチドはHIVの表面にあるスパイク(突起)の一部で、ウイルスがヒトの細胞内に侵入する際に利用する。Kwong氏らによると、ほとんどのHIV株が同一の構造の融合ペプチドを有しており、融合ペプチドを基盤とするHIVワクチンは特に有望な可能性があるという。

今回の研究では、融合ペプチドの構造に基づきさまざまな抗体を作製し、マウスの実験でHIVの中和抗体の誘導に最も有効な抗体を同定した。また、効果を高めるために、この抗体にHIVのスパイクのレプリカを組み合わせてワクチンを作製した。次に、マウスの実験で代表的な208のHIV株に対するワクチンの効果を検証した結果、これらの31%が中和されたことが分かったという。

論文発表に際し、NIAID長官のAnthony Fauci氏はプレスリリースで「(研究グループは)HIVウイルスの構造に関する深い知識を生かして、ウイルスに脆弱な部分があることを見出し、強力な効果を発揮し得る新たなワクチンを設計した」と研究を評価。その上で「この卓越した研究は、安全で有効なHIVワクチンの開発に向けた取り組みを前進させる重要な成果だ」とコメントしている。

なお、Kwong氏らは現在、注射回数を減らしても今回の研究と同程度の効果が得られるようにワクチンの効果を高めるなど、ヒトを対象とした臨床試験での応用を目指してワクチンの改良に取り組んでいるという。(HealthDay News 2018年6月6日)

https://consumer.healthday.com/aids-information-1/aids-and-hiv-sexually-transmitted-diseases-news-607/human-trials-set-for-experimental-hiv-vaccine-734558.html

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