1HDN6月18日「パッケージニュース」No. 2
image_print
医療・健康ニュース/パッケージニュース/

湿度が高くてもインフルエンザウイルスの感染力は弱まらない?

インフルエンザウイルスは湿度が高いほど生存率は低下すると広く考えられているが、高湿度の環境下でもウイルスの感染力は弱まらない可能性のあることが新しい研究で示唆された。研究グループは、咳やくしゃみにより空気中に飛び散った気道の分泌物などがインフルエンザウイルスの保護に働くためではないかと指摘している。詳細は「Journal of Infectious Diseases」6月7日オンライン版に掲載された。

論文著者の一人で米ピッツバーグ大学医学部微生物学・分子遺伝学のSeema Lakdawala氏は「この結果は、特にパンデミック発生時に感染の拡大を阻止する対策を検討する際に役立つだろう」と話している。

インフルエンザウイルスの主な感染経路は、感染した人から咳などで飛び散った飛沫を吸い込んでしまうことによる飛沫感染だと考えられている。しかし、感染が成立するには飛沫に含まれるウイルスの感染力が維持されている必要がある。研究グループは今回、インフルエンザウイルスの感染力と湿度の関係に着目して実験を行った。

Lakdawala氏らはまず、相対湿度を一定に維持しながら空気中に液体の微粒子(エアロゾル)を安定して浮遊させることができる回転式の金属ドラムを作製した。次に、ヒトの気道分泌物のサンプルと2009年のパンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルス株の混合物をエアロゾル化して、このドラム内に噴霧した。同氏らによると、ドラム内の環境は、インフルエンザに罹患した人と同じ部屋で過ごす条件に近いものだという。

その次に、Lakdawala氏らは、ウイルスが外に拡散されないように金属ドラムに特殊なフィルターを取り付けた。その上で、室内の空気が外気と入れ替わるのに要する時間と同じ1時間、ドラムを回転させた。

7段階の湿度(23%、33%、43%、55%、75%、85%および98%)でこの実験を繰り返した結果、インフルエンザウイルスはどの相対湿度でも感染力が弱まらないことが明らかになった。「少なくとも一般的な住宅では、室内の空気が外気と入れ替わる1時間のうちは咳などで飛散した気道の分泌物がウイルスを保護している可能性が考えられる」と、Lakdawala氏は述べている。

論文の共著者で米バージニア工科大学社会環境工学科のLinsey Marr氏は、過去の研究グループの検討でインフルエンザウイルスは湿度が低い方が生存率は高いことが示唆されており、冬期にインフルエンザが流行する理由になると考えていたという。そのため、「この結果には驚かされた」とした上で、ウイルスが咳による飛沫や空気中の微粒子の中で浮遊している間に、どのような変化が生じているのかを改めて検討する必要があるとしている。

研究グループは今回の結果を踏まえて、インフルエンザの流行期には自宅や職場の空気をこまめに入れ替え、循環する空気を紫外線照射で殺菌する機能を備えた空気清浄機を活用し、ドアノブやキーボード、電話、机などを定期的に消毒するようアドバイスしている。(HealthDay News 2018年6月7日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/humidity-won-t-hamper-spread-of-flu-virus-734600.html

Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

RELATED ARTICLES