大腸内視鏡検査や食道、胃、十二指腸の内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査)は、一般に考えられているほど安全ではないかもしれない-。消化器内視鏡検査後には大腸菌(Escherichia coli)やクレブシエラ属などの細菌に感染するリスクは予想以上に高いことが、米ジョンズ・ホプキンス大学消化器病学・肝臓病学のSusan Hutfless氏らの研究で示された。2014年にこれらの検査を日帰りで受けた患者のデータを分析した結果、検査後に救急治療や緊急入院が必要となった感染症の発症率は、これまで考えられていたよりも大幅に高いことが分かったという。詳細は「Gut」5月18日オンライン版に掲載された。米国では、大腸内視鏡検査の実施件数は年間で1500万件を超え、上部消化管内視鏡検査の実施件数も約700万件に上る。Hutfless氏らは今回、2014年の保険請求データベースを用いて、米国6州(カリフォルニア州、フロリダ州、ジョージア州、ネブラスカ州、ニューヨーク州、バーモント州)の日帰り手術施設(Ambulatory Surgery Center)で実施された大腸内視鏡検査と上部消化管内視鏡検査のデータを収集し、検査後7日以内および30日以内の救急治療や緊急入院を必要とする感染症の発症率を調べた。.その結果、検査後7日以内の感染症の発症率は、スクリーニング目的の大腸内視鏡検査で1,000件当たり1.1件、スクリーニング以外の目的で実施された大腸内視鏡検査では同1.6件、上部消化管内視鏡検査では同3.0件だった。Hutfless氏によると、こうした消化器内視鏡検査後の感染症の発症率は、これまで100万件当たり1件前後であると考えられていたという。.また、今回の研究では、これらの検査を実施する前に入院歴があった患者では特に感染リスクが高いことも分かった。例えば、検査前30日以内の入院歴がある場合、検査後1カ月以内の感染症による入院率は、大腸内視鏡検査を受けた患者では1,000人当たり約45人と高く、上部消化管内視鏡検査を受けた患者では1,000人当たり約59人とより高かった。.以上の結果を踏まえ、Hutfless氏は「患者は通常、一般的な消化器内視鏡検査は安全だと説明されるが、実際にはこれらの検査後の感染症の発症率は予想以上に高く、施設によってばらつきが大きいことも分かった」と結論。「日帰り手術施設の多くは厳格な感染対策ガイドラインを守っているにもかかわらず、検査後の感染症の発症率が予想の100倍を超える施設もあった」と付け加えている。.米国で40年ほど前から普及し始めた日帰り手術施設は、その利便性やコストが削減できるといった利点から、ここ20年ほどで人気が高まっている。ただ、これらの施設では医療記録データを救急部門と共有できていない場合も多く、感染症の有無までは把握しきれていないのが実情だ。Hutfless氏は、このことが感染症対策が進まない理由の一つではないかと指摘する。また、今回の結果から、「これらの消化器内視鏡検査は感染リスクを伴うことを知っておくべきだ」と同氏は強調している。(HealthDay News 2018年6月6日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colonoscopy-news-140/colonoscopies-endoscopies-carry-greater-infection-risk-than-thought-study-734499.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
大腸内視鏡検査や食道、胃、十二指腸の内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査)は、一般に考えられているほど安全ではないかもしれない-。消化器内視鏡検査後には大腸菌(Escherichia coli)やクレブシエラ属などの細菌に感染するリスクは予想以上に高いことが、米ジョンズ・ホプキンス大学消化器病学・肝臓病学のSusan Hutfless氏らの研究で示された。2014年にこれらの検査を日帰りで受けた患者のデータを分析した結果、検査後に救急治療や緊急入院が必要となった感染症の発症率は、これまで考えられていたよりも大幅に高いことが分かったという。詳細は「Gut」5月18日オンライン版に掲載された。米国では、大腸内視鏡検査の実施件数は年間で1500万件を超え、上部消化管内視鏡検査の実施件数も約700万件に上る。Hutfless氏らは今回、2014年の保険請求データベースを用いて、米国6州(カリフォルニア州、フロリダ州、ジョージア州、ネブラスカ州、ニューヨーク州、バーモント州)の日帰り手術施設(Ambulatory Surgery Center)で実施された大腸内視鏡検査と上部消化管内視鏡検査のデータを収集し、検査後7日以内および30日以内の救急治療や緊急入院を必要とする感染症の発症率を調べた。.その結果、検査後7日以内の感染症の発症率は、スクリーニング目的の大腸内視鏡検査で1,000件当たり1.1件、スクリーニング以外の目的で実施された大腸内視鏡検査では同1.6件、上部消化管内視鏡検査では同3.0件だった。Hutfless氏によると、こうした消化器内視鏡検査後の感染症の発症率は、これまで100万件当たり1件前後であると考えられていたという。.また、今回の研究では、これらの検査を実施する前に入院歴があった患者では特に感染リスクが高いことも分かった。例えば、検査前30日以内の入院歴がある場合、検査後1カ月以内の感染症による入院率は、大腸内視鏡検査を受けた患者では1,000人当たり約45人と高く、上部消化管内視鏡検査を受けた患者では1,000人当たり約59人とより高かった。.以上の結果を踏まえ、Hutfless氏は「患者は通常、一般的な消化器内視鏡検査は安全だと説明されるが、実際にはこれらの検査後の感染症の発症率は予想以上に高く、施設によってばらつきが大きいことも分かった」と結論。「日帰り手術施設の多くは厳格な感染対策ガイドラインを守っているにもかかわらず、検査後の感染症の発症率が予想の100倍を超える施設もあった」と付け加えている。.米国で40年ほど前から普及し始めた日帰り手術施設は、その利便性やコストが削減できるといった利点から、ここ20年ほどで人気が高まっている。ただ、これらの施設では医療記録データを救急部門と共有できていない場合も多く、感染症の有無までは把握しきれていないのが実情だ。Hutfless氏は、このことが感染症対策が進まない理由の一つではないかと指摘する。また、今回の結果から、「これらの消化器内視鏡検査は感染リスクを伴うことを知っておくべきだ」と同氏は強調している。(HealthDay News 2018年6月6日).https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colonoscopy-news-140/colonoscopies-endoscopies-carry-greater-infection-risk-than-thought-study-734499.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.