魚などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、成人の心臓病リスクの低減に効果的とされているが、乳児の心臓にも良い影響を与える可能性のあることが、オーストラリアの新しい研究で示された。魚油サプリメントを生後6カ月までに摂取すると、5歳時点の腹囲(ウエスト周囲長)などの心臓病のリスク因子が改善したという。詳細は「Pediatrics」6月8日オンライン版に掲載された。ロイヤル・パース病院(オーストラリア)のValene See氏らは、西オーストラリア州の州都パースで登録した妊婦から出生した新生児420人を対象に、オメガ3系脂肪酸のサプリメント(650mg)を摂取する群またはオリーブ油を含んだプラセボを摂取する群にランダムに割り付けて、生後6カ月まで毎日摂取させた。なお、母親はいずれもアレルギーの既往があり、魚の摂取量が少なかったという。.その後、子どもが5歳になった時点で、オメガ3系脂肪酸を摂取した群のうち165人、プラセボを摂取した群のうち157人で血液検査を実施し、腹囲を測定した。解析の結果、オメガ3系脂肪酸を摂取した群では、プラセボ群と比べて腹囲が約1cm小さいことが分かった。また、オメガ3系脂肪酸摂取群の男児ではインスリンの血中濃度が21%低く、インスリン抵抗性が22%低いことも明らかになった。.米国心臓協会(AHA)によると、腹囲の大きさは心臓病のリスク因子とされている。また、インスリンの血中濃度の上昇や、十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず血糖値が下がらない状態を指すインスリン抵抗性は、2型糖尿病の発症に深く関与するとされている。.米ニューヨーク大学(NYU)ウィンスロップ病院で小児糖尿病プログラムの責任者を務めるSiham Accacha氏は今回の研究をレビューし、「オメガ3系脂肪酸の摂取は腹囲を減らすのに有用であるようだが、その効果が長期にわたって続くかどうかは現時点では分からない」と話している。また、男児だけでインスリン抵抗性の改善がみられた理由も不明だと、同氏は付け加えている。.登録栄養士の資格を持つ同大学ランゴン医療センターのSamantha Heller氏は、同じく専門家の立場から「オメガ3系脂肪酸は胎児の脳や眼の発達にも重要で、魚などの健康的な食品を好む味覚の形成にも役立つとされる。そのため、乳児期や幼児期からオメガ3系脂肪酸を摂取するのは良い選択かもしれない」とコメントしている。.一方で、同氏は、今回対象とした母親は妊娠中の魚の摂取量が少なかったことが結果に影響した可能性もあることを指摘している。また、Accacha氏は、子どもが10歳以降になってもオメガ3系脂肪酸の効果が続くかどうかが分かれば興味深いと話している。(HealthDay News 2018年6月8日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/misc-kid-s-health-news-435/fish-oil-may-protect-the-youngest-hearts-734674.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
魚などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、成人の心臓病リスクの低減に効果的とされているが、乳児の心臓にも良い影響を与える可能性のあることが、オーストラリアの新しい研究で示された。魚油サプリメントを生後6カ月までに摂取すると、5歳時点の腹囲(ウエスト周囲長)などの心臓病のリスク因子が改善したという。詳細は「Pediatrics」6月8日オンライン版に掲載された。ロイヤル・パース病院(オーストラリア)のValene See氏らは、西オーストラリア州の州都パースで登録した妊婦から出生した新生児420人を対象に、オメガ3系脂肪酸のサプリメント(650mg)を摂取する群またはオリーブ油を含んだプラセボを摂取する群にランダムに割り付けて、生後6カ月まで毎日摂取させた。なお、母親はいずれもアレルギーの既往があり、魚の摂取量が少なかったという。.その後、子どもが5歳になった時点で、オメガ3系脂肪酸を摂取した群のうち165人、プラセボを摂取した群のうち157人で血液検査を実施し、腹囲を測定した。解析の結果、オメガ3系脂肪酸を摂取した群では、プラセボ群と比べて腹囲が約1cm小さいことが分かった。また、オメガ3系脂肪酸摂取群の男児ではインスリンの血中濃度が21%低く、インスリン抵抗性が22%低いことも明らかになった。.米国心臓協会(AHA)によると、腹囲の大きさは心臓病のリスク因子とされている。また、インスリンの血中濃度の上昇や、十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず血糖値が下がらない状態を指すインスリン抵抗性は、2型糖尿病の発症に深く関与するとされている。.米ニューヨーク大学(NYU)ウィンスロップ病院で小児糖尿病プログラムの責任者を務めるSiham Accacha氏は今回の研究をレビューし、「オメガ3系脂肪酸の摂取は腹囲を減らすのに有用であるようだが、その効果が長期にわたって続くかどうかは現時点では分からない」と話している。また、男児だけでインスリン抵抗性の改善がみられた理由も不明だと、同氏は付け加えている。.登録栄養士の資格を持つ同大学ランゴン医療センターのSamantha Heller氏は、同じく専門家の立場から「オメガ3系脂肪酸は胎児の脳や眼の発達にも重要で、魚などの健康的な食品を好む味覚の形成にも役立つとされる。そのため、乳児期や幼児期からオメガ3系脂肪酸を摂取するのは良い選択かもしれない」とコメントしている。.一方で、同氏は、今回対象とした母親は妊娠中の魚の摂取量が少なかったことが結果に影響した可能性もあることを指摘している。また、Accacha氏は、子どもが10歳以降になってもオメガ3系脂肪酸の効果が続くかどうかが分かれば興味深いと話している。(HealthDay News 2018年6月8日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/misc-kid-s-health-news-435/fish-oil-may-protect-the-youngest-hearts-734674.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.