1HDN6月25日「パッケージニュース」No.4
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周術期の輸血で血栓リスク上昇か

術前から術中、術後の周術期に輸血を受けると静脈血栓塞栓症(VTE)を発症するリスクが上昇する可能性があることが、米ジョンズ・ホプキンス大学輸血医学のAaron Tobian氏らによる研究から明らかになった。約75万人の外科手術患者のデータを分析した結果、周術期に輸血を受けた患者の約1%が術後30日以内にVTEを発症し、術後のVTEリスクは輸血を受けなかった患者の約2倍であることが分かった。この研究結果は「JAMA Surgery」6月13日オンライン版に発表された。

VTEとは手足の静脈に血栓ができる深部静脈血栓症(DVT)と、血栓が流れて肺の動脈に詰まる肺血栓塞栓症(PE)の総称で、死に至る可能性もある重篤な疾患だ。Tobian氏らによれば、輸血は手術時の炎症を抑えるとされるが、輸血用血液製剤は保存期間中に性状が変化して血栓ができやすくなる可能性が指摘されている。同氏らは、こうした輸血用血液製剤の変化と手術時の炎症が重なることで輸血により血栓リスクが高まる可能性があると推測。米国外科学会(ACS)の手術症例登録データベース(National Surgical Quality Improvement Program;NSQIP)を用いて、周術期の赤血球製剤を用いた輸血と術後のVTEリスクとの関連を調べた。

対象は、北米の525カ所の医療施設で2014年に登録された外科手術患者75万937人(年齢中央値58歳、女性56.8%)。このうち4万7,410人(6.3%)が周術期に赤血球輸血を1回以上受けていた。また、対象患者のうち6,309人(0.8%)が術後30日以内にVTEを発症し、その内訳はDVTが4,336人(0.6%)、PEが2,514人(0.3%)、DVTとPEの両方が541人(0.1%)であった。

解析の結果、周術期に赤血球輸血を受けた患者では、輸血を受けなかった患者と比べてVTEとDVT、PEのリスクが約2倍になることが分かった(調整後のオッズ比は順に2.1、2.2、1.9)。また、術後のVTEリスクは、周術期の赤血球輸血の回数が1回の場合は2.1倍に、2回の場合は3.1倍に、3回以上の場合には4.5倍と、輸血回数の増加に伴って術後のVTEリスクは上昇していた。

今回の研究は、輸血が原因でVTEを発症するという因果関係を証明したものではないが、Tobian氏らは「輸血には一般に知られていないリスクを伴う可能性のあることが示唆された。今後さらなる研究で同様の結果が得られれば、現行の輸血のあり方を再考する必要性が生じるかもしれない」と話す。また、同氏は「この研究結果は、輸血は必要最小限にとどめることの重要性を強調するものだ」と付け加えている。

専門家の一人で米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのDavid Evans氏も、外科手術を受けるときには本当に輸血が必要なのか、輸血以外に治療法がないのかを医師に尋ねるよう助言している。米レノックス・ヒル病院のAllan Conway氏もこの意見に同意し、「術後の血栓予防には、術後早期から歩き始めたり、低用量の抗凝固薬を使用するなどさまざまな方法がある」と話している。(HealthDay News 2018年6月13日)

https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/clots-health-news-731/surgical-blood-transfusions-tied-to-clot-risk-734817.html

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