青年期の1型糖尿病患者の多くが、病気のせいで他人から偏見や差別を受けたり、自分を恥ずかしく思う感情を抱いていることが、マギル大学健康センター(カナダ)准教授のKaberi Dasgupta氏らが行ったオンライン調査で分かった。こうした負の感情を抱くと1型糖尿病患者は治療を軽視するようになり、血糖コントロールも不良になりやすいことも明らかになった。同氏は「偏見や差別、自分を恥ずかしいと思うことは、1型糖尿病の治療を妨げる大きな要因になる」と話している。詳細は「Journal of Medical Internet Research」4月号に掲載された。今回の研究に参加したコンコルディア大学(カナダ)のMichael Wright氏(現在22歳)は16歳のときに1型糖尿病と診断された。友人たちの支えもあって学校生活は無事に送れたというが、「糖尿病の話題を避けるため、別室などで隠れて血糖測定やインスリン注射をしていた。ときにはトイレですることもあった」と当時を振り返る。同氏は注射をするところを他人にじろじろ見られたり、心ない言葉で傷つけられるが嫌だったと話している。.1型糖尿病患者は、周囲の無理解から社会的な不利益や偏見、差別を受けやすく、劣等感や屈辱感を抱く「スティグマ」と呼ばれる状態に陥りやすい。患者はこうした経験を重ねると治療を怠るようになり、血糖コントロールも不良になりやすいと考えられている。.研究チームは今回、ソーシャルメディアを介して、カナダの14~24歳の1型糖尿病患者を対象に、病気による偏見や差別、恥ずかしさに関するオンライン調査への参加を呼び掛けた。調査では糖尿病治療のアドヒアランスを維持する障壁について尋ね、(1)友人の前では治療や血糖測定をしない、(2)他人と糖尿病について話さない、(3)他人の前で治療することを恥ずかしいと感じる-のうち1つ以上に当てはまる場合をスティグマの状態にあると定義した。.調査では380人の患者から回答が得られた(平均年齢19.5歳、男子31.1%)。その結果、回答した患者の65.5%が病気のせいで劣等感や恥ずかしさを感じていると回答し、その割合は男子(59.3%)よりも女子(68.6%)で高かった。また、こうした負の感情を抱いていると血糖コントロールが不良となる確率は約2倍となったほか(調整オッズ比は2.25)、過去1年以内に重症低血糖や著しい高血糖(HbA1c値9%超)を経験する確率も高まっていた(調整オッズ比はそれぞれ3.05、1.86)。.専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴンヘルスHassenfeld小児病院のMary Pat Gallagher氏は「この年代の若者が自分は他の人と違うと感じるのはごく普通のことだ。糖尿病の治療はいつも完璧である必要はない。患者に苦痛がなく、安全であるかどうかが重要だ」と話す。今回の研究では、差別や偏見は10歳代では終わらないことも示さており、「働き始める年代になると否定的なレッテルをより貼られやすくなる」と同氏は指摘している。.なお、研究チームは、小児や青年期の1型糖尿病患者の支援グループを設立している。「1型糖尿病と共に生きる患者は、常にインスリンや血糖値を気にしなければならず、心が休まる暇がないことを広く知って欲しい。支援グループの活動で、病気と闘っているのは自分一人ではないと患者に感じてもらいたい」とWright氏は話している。(HealthDay News 2018年6月19日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-i-diabetes-news-182/stigma-adds-to-burden-of-type-1-diabetes-735002.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
青年期の1型糖尿病患者の多くが、病気のせいで他人から偏見や差別を受けたり、自分を恥ずかしく思う感情を抱いていることが、マギル大学健康センター(カナダ)准教授のKaberi Dasgupta氏らが行ったオンライン調査で分かった。こうした負の感情を抱くと1型糖尿病患者は治療を軽視するようになり、血糖コントロールも不良になりやすいことも明らかになった。同氏は「偏見や差別、自分を恥ずかしいと思うことは、1型糖尿病の治療を妨げる大きな要因になる」と話している。詳細は「Journal of Medical Internet Research」4月号に掲載された。今回の研究に参加したコンコルディア大学(カナダ)のMichael Wright氏(現在22歳)は16歳のときに1型糖尿病と診断された。友人たちの支えもあって学校生活は無事に送れたというが、「糖尿病の話題を避けるため、別室などで隠れて血糖測定やインスリン注射をしていた。ときにはトイレですることもあった」と当時を振り返る。同氏は注射をするところを他人にじろじろ見られたり、心ない言葉で傷つけられるが嫌だったと話している。.1型糖尿病患者は、周囲の無理解から社会的な不利益や偏見、差別を受けやすく、劣等感や屈辱感を抱く「スティグマ」と呼ばれる状態に陥りやすい。患者はこうした経験を重ねると治療を怠るようになり、血糖コントロールも不良になりやすいと考えられている。.研究チームは今回、ソーシャルメディアを介して、カナダの14~24歳の1型糖尿病患者を対象に、病気による偏見や差別、恥ずかしさに関するオンライン調査への参加を呼び掛けた。調査では糖尿病治療のアドヒアランスを維持する障壁について尋ね、(1)友人の前では治療や血糖測定をしない、(2)他人と糖尿病について話さない、(3)他人の前で治療することを恥ずかしいと感じる-のうち1つ以上に当てはまる場合をスティグマの状態にあると定義した。.調査では380人の患者から回答が得られた(平均年齢19.5歳、男子31.1%)。その結果、回答した患者の65.5%が病気のせいで劣等感や恥ずかしさを感じていると回答し、その割合は男子(59.3%)よりも女子(68.6%)で高かった。また、こうした負の感情を抱いていると血糖コントロールが不良となる確率は約2倍となったほか(調整オッズ比は2.25)、過去1年以内に重症低血糖や著しい高血糖(HbA1c値9%超)を経験する確率も高まっていた(調整オッズ比はそれぞれ3.05、1.86)。.専門家の一人で米ニューヨーク大学(NYU)ランゴンヘルスHassenfeld小児病院のMary Pat Gallagher氏は「この年代の若者が自分は他の人と違うと感じるのはごく普通のことだ。糖尿病の治療はいつも完璧である必要はない。患者に苦痛がなく、安全であるかどうかが重要だ」と話す。今回の研究では、差別や偏見は10歳代では終わらないことも示さており、「働き始める年代になると否定的なレッテルをより貼られやすくなる」と同氏は指摘している。.なお、研究チームは、小児や青年期の1型糖尿病患者の支援グループを設立している。「1型糖尿病と共に生きる患者は、常にインスリンや血糖値を気にしなければならず、心が休まる暇がないことを広く知って欲しい。支援グループの活動で、病気と闘っているのは自分一人ではないと患者に感じてもらいたい」とWright氏は話している。(HealthDay News 2018年6月19日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-i-diabetes-news-182/stigma-adds-to-burden-of-type-1-diabetes-735002.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.