2HDN糖尿病ニュース7月5日配信1

2型糖尿病の血糖管理に人工膵臓が有用か

自動注入インスリンポンプと持続血糖測定器(CGM)を組み合わせた「人工膵臓」は、入院中の2型糖尿病患者における血糖コントロールに有用とする研究結果が米国糖尿病学会(ADA 2018、6月22~26日、米オーランド)で発表され、論文が「New England Journal of Medicine」6月25日オンライン版に掲載された。

入院中の2型糖尿病患者は血糖コントロールが不良だと入院期間が延長し、合併症や死亡のリスクが高まるとされている。英ケンブリッジ大学代謝研究所のRoman Hovorka氏らは、近年、1型糖尿病患者を対象に実用化が進む人工膵臓システムに着目。一般病棟に入院し、インスリン治療を必要とする2型糖尿病患者を対象に、クローズドループ型の人工膵臓システムの有用性を検証するオープンラベルデザインのランダム化比較試験を実施した。

この研究では、英国およびスイスの2カ所の大学病院に入院した成人の2型糖尿病患者136人を対象に、人工膵臓システムを使用する群(70人)または従来のインスリン皮下注射を行う対照群(66人)にランダムに割り付けて、治療開始から15日後または退院時までに血糖値が目標範囲内(100~180mg/dL)を示した時間の割合を比較した。

その結果、血糖値が目標範囲内を示した時間の割合の平均値は、人工膵臓群の65.8±16.8%に対し、対照群では41.5±16.9%と両群間に有意差がみられた(P<0.001)。また、人工膵臓群では対照群と比べて平均血糖値も有意に低いことが分かった(154mg/dL対188mg/dL、P<0.001)。なお、血糖値が54mg/dL未満の低血糖を示した時間の割合には両群間で差はみられず、いずれの群でも重症の低血糖を来した症例は認められなかった。

これらの結果から、Hovorka氏は「インスリン治療を必要とする2型糖尿病の入院患者において、人工膵臓システムは従来のインスリン皮下投与よりも血糖コントロールに優れ、低血糖リスクを高めないことが分かった」と結論づけている。ただし、この研究では2型糖尿病患者が退院後もインスリンポンプとCGMの両方を使い続ける意思があるかどうかは調べていないという。

米国では、入院患者の約4人に1人が糖尿病を有すると推計されている。入院中の糖尿病の管理は併存疾患、食生活や薬物療法の変化などの多くの要因による影響を受けるため、看護師などの医療スタッフは患者の状態の変化により注意を払う必要が生じる。しかし、Hovorka氏によると、人工膵臓はCGMで測定した血糖値に基づきインスリン投与量をコンピューターで自動制御する仕組みになっており、医療スタッフの煩雑な作業を自動化することができるという。

Hovorka氏は今後、医療費削減の観点も含めて、2型糖尿病患者を対象とした人工膵臓の大規模な試験を実施し、外来治療における有効性も検討する必要があると指摘している。一方で、専門家の一人で米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センターのセンター長を務めるJoel Zonszein氏は、人工膵臓システムは高価なため、近い将来に入院中の2型糖尿病患者が適用となる可能性は低いとの見方を示している。(HealthDay News 2018年6月26日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/artificial-pancreas-helps-hospitalized-type-2-diabetics-735175.html

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