1HDN7月17日「パッケージニュース」No.4
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アルツハイマー病の進行抑制にアスピリンが有効か

アスピリンを服用するとアルツハイマー病の進行を抑制できる可能性のあることが、米ラッシュ医科大学神経学のKalipada Pahan氏らのマウスを用いた実験で示唆された。アルツハイマー病には脳内のアミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質の蓄積が関与していると考えられているが、低用量アスピリンは脳内に蓄積したAβの除去に役立つ可能性があることが示されたという。研究の詳細は「The Journal of Neuroscience」7月2日オンライン版に掲載された。

アルツハイマー病の原因はいまだ解明されていないが、毒性があるAβが脳内に蓄積してアミロイドプラークを形成することがその一因と考えられている。そのため、アルツハイマー病の進行を遅らせるための手段として、脳内のAβ除去を担う細胞機構を活性化させる方法が注目されている。

Pahan氏らはまず、マウスの脳細胞を用いた実験で、アスピリンはPPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター)αと呼ばれる遺伝子発現の調節因子を活性化することで、脳内のAβ除去に重要な調整役(マスターレギュレーター)を担う転写因子EB(TFEB)の発現量を増やし、Aβ除去に関わるリソソームの合成を高めることを突き止めた。

さらに、アルツハイマー病のモデルマウスに低用量アスピリンを1カ月にわたり経口投与して調べた結果、アスピリンはPPARαを介した作用によりアミロイドプラークの除去に働くことが分かったという。

以上の結果を踏まえ、Pahan氏は「世界で最も汎用されている一般用医薬品の一つであるアスピリンには、鎮痛や心血管疾患予防以外にもアルツハイマー病などの認知症に関連した疾患への新たな治療効果が期待できる可能性が示された」と結論づけている。

動物実験の結果は必ずしもヒトで応用できるわけではなく、Pahan氏もアスピリンの認知症への治療効果についてはさらなる研究が必要であることを強調している。しかし、同氏は「今回の研究によってアミロイドプラークが除去される機序の解明を進めることができた。このことは、アルツハイマー病の進行を抑制する薬剤を開発する上で重要だ」と話している。

米国では65歳以上の男女の10人中1人がアルツハイマー病患者だとする推定もある。アルツハイマー病の治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認されている薬剤は数種類しかなく、これらの薬剤の効果も限定的なのが現状である。(HealthDay News 2018年7月5日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/could-aspirin-help-keep-alzheimer-s-away-735510.html

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