1HDN7月23日「パッケージニュース」No.2
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米国人は政府より科学者を信じやすい?

政治家の中には科学を軽視する者もいるが、米国や英国の一般の人々はそうではないようだ。英ロンドン大学クイーン・メアリー校のMagda Osman氏らは、米国人と英国人の一般の参加者を対象に、科学の専門家あるいは政策立案者などで構成される政府のワーキンググループが勧める健康に関するアドバイスの信頼性を判断してもらう3つの大規模な実験を行った。その結果、たとえアドバイスの内容が突飛で現実的なものではなくても、一般の人々は、政府関係者よりも科学者の方を信じやすい可能性が高いことが分かったという。研究の詳細は「Basic and Applied Social Psychology」7月11日オンライン版に掲載された。

今回の研究では、ボランティアの参加者(米国人689人、英国人978人)を対象に、科学の専門家あるいは政府関係者が勧める健康に関するアドバイスを提示し、その信頼性を判断してもらった。一般の人々にアドバイスを提示して日常生活の上で良い選択や行動を取らせようと促す手法は「ナッジ(nudge)」と呼ばれ、医療や教育、福祉といった幅広い分野の公共政策に取り入れられている。

この研究で参加者に提示したナッジには、「階段の壁に人目を引くポスターを貼って階段を使いたくなるように促す」といった実際に使われているもののほか、「コーヒーを反時計回りに2分間かき回すとがん予防になる」といった明らかに嘘と分かるものも含めた上で、参加者にこれらの情報の信頼性を判断させた。

その結果、提示されたナッジが嘘と分かるものであっても、一般の人々の信頼度は、政府関係者よりも科学者の方が高いことが分かった。例えば、科学者が健康のためにコーヒーをスプーンでかき回すことを勧め、政府関係者が運動を勧めた場合、一般の人々は前者を信頼すると答える確率が高かったという。

論文共著者で同大学電子工学・コンピューターサイエンス学部教授のNorman Fenton氏は「全体的には、参加者は本物のアドバイスを架空のものよりも妥当と判断していたが、科学者が勧める嘘のアドバイスを、政府関係者が勧める本物のアドバイスよりも信頼できると考える人が多いようだった」と話している。

また、Osman氏は「科学者や専門家への信頼の喪失が問題視されることが多い現状であっても、今回の研究から米国人や英国人は政府よりも科学者に好意的な印象を抱いていることが分かった」と強調。今回の研究では特に社会科学者への信頼が高かったことが示されたとしている。

こうした結果を踏まえて、Osman氏は「一般の参加者は極めて賢明な判断をしており、できる限り専門家が提供する情報を十分に吟味していることが伺えた。専門家の見解に対する批判的な強い世論に反応して場当たり的な政策を取るよりも、まずは国民に対してどのような調査がなされたのかという点に注意を払う必要があるだろう」と話している。(HealthDay News 2018年7月12日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/research-and-development-health-news-578/for-americans-in-science-they-trust-735637.html

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