2HDN糖尿病ニュース8月16日配信2
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オバマケアが糖尿病治療の格差解消に貢献

米国で2014年から本格的に運用が始まった医療保険制度改革法、通称オバマケアは、糖尿病患者に大きな恩恵をもたらしたようだ。オバマケアによりメディケイド(低所得者向け公的医療保険)の加入資格を拡大した州では、2014~2015年にはメディケイド拡大以前と比べてインスリンや新たに登場した糖尿病治療薬の処方件数が約40%増加したことが、米南カリフォルニア大学薬学・医療経済学のRebecca Myerson氏らによる研究から明らかになった。詳細は「Health Affair」8月号に掲載された。

オバマケアによるメディケイドの対象者拡大は州政府の判断に委ねられ、29州とワシントンD.C.は対象拡大を実施した。Myerson氏らは、メディケイドの対象者拡大による糖尿病治療薬の処方への影響を調べるため、2008年1月~2015年12月の9600万件を超えるメディケイドの処方データを分析した。

2008年1月~2013年12月の期間と2014年1月~2015年12月の期間の処方データを比較検討した結果、メディケイドの対象者拡大以降、インスリンの処方件数は40%増加し、GLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬などの新規の糖尿病治療薬の処方件数は39%増加したことが分かった。なお、Myerson氏によると、メディケイド拡大が実施される以前には、これらの新薬を処方されていた患者の割合は15%に過ぎなかったという。さらに、新たにメディケイドの対象となった層ではプライマリケア医の受診率が向上したことも示された。

Myerson氏は「メディケイドの対象者拡大により、糖尿病患者の中でも特に早期の患者が薬物治療を受けやすくなったと思われる。また、メディケアの拡大により新規の治療薬の処方が増えていることから、ほぼ全ての患者が平等に治療を受けられるようになっているのではないか」と話している。

糖尿病は、米国人の死因の上位10位以内に入っており、死因の上位を占める心疾患をもたらす重大なリスク因子でもある。糖尿病の管理や合併症の予防には適切な薬物治療が不可欠であるが、米国糖尿病協会(ADA)のKrista Maier氏によると、糖尿病患者の医療費は糖尿病のない患者に比べて2.3倍に上っており、こうした高い自己負担額が治療の大きな障壁となっているという。

また、近年では新しい糖尿病治療薬が次々と登場しているが、こうした新規薬は従来薬よりも高価で、低所得者層の患者には手が届かない状況となっていた。Maier氏は「医療費が払えない患者は治療を諦めざるを得ない。糖尿病患者がしっかりと治療を受けられるシステムを構築することは、糖尿病の重症化予防に重要となる」と話している。

オバマケアの存続はいまだ政治的な議論の中にあるが、Myerson氏によると、一部の州では今年の11月にもメディケイドの対象拡大の是非を問うことになるという。同氏は、少なくともオバマケアの撤廃は2020年までは先送りされる可能性が高いのではとの見方を示している。(HealthDay News 2018年8月6日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/affordable-care-act-obamacare-955/access-to-diabetes-drugs-improved-under-affordable-care-act-study-736519.html

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