妊娠中に抗てんかん薬の服用を続ける女性患者は、妊娠前から葉酸を摂取することで生まれた子どもの言語発達に遅れが出るリスクが半減できる可能性のあることが、ノルウェーの新たな研究で示された。詳細は「Neurology」8月1日オンライン版に掲載された。てんかん発作は母体だけでなく胎児にも危険をもたらす可能性があるため、妊娠中でも抗てんかん薬の治療を継続することが重要になる。しかし、妊娠中に抗てんかん薬を服用すると、生まれた子どもの言語発達に遅れが出ることが懸念されている。ベルゲン大学(ノルウェー)のElisabeth Synnøve Nilsen Husebye氏らは今回、妊娠中に抗てんかん薬を服用した母親から生まれた子ども335人と、てんかんのない母親から生まれた子ども10万4,222人を対象に、妊娠中の葉酸摂取と子どもの言語発達との関連を調べた。.その結果、妊娠前から妊娠初期にかけて母親が葉酸を摂取していなかった子どもでは、生後18カ月の時点で言語発達遅延がある割合は、母親にてんかんがある場合には34%だったのに対し、母親にてんかんがない場合では11%であった。3歳の時点では、それぞれ24%と6%の子どもに言語発達遅延が認められた。.一方で、母親が葉酸を摂取していた子どもでは、生後18カ月の時点で言語発達遅延がある割合は、母親にてんかんがある場合には17%、てんかんがない場合には11%であった。こうした葉酸の保護効果は、てんかんがない母親に比べて、てんかんを持つ母親から生まれた子どもでより強くみられることも明らかになった。.これらの結果から、Husebye氏は「母親の胎内で抗てんかん薬に曝された子どもが、生後18カ月の時点で言語発達遅延を来すリスクは、葉酸を摂取することで半減することが分かった」と結論づけている。その上で、「抗てんかん薬の多くは葉酸代謝との相互作用があるため、この結果は世界中のてんかんを持つ女性にとって有意義なものになるだろう」と述べている。.専門家の一人で米ハンチントン病院産婦人科部長のMitchell Kramer氏は「一般的に妊婦には葉酸をサプリメントなどで補充することが推奨されているが、抗てんかん薬を服用する女性の場合は、特に葉酸摂取が重要になると思われる」と話している。.同じく専門家の米ノースウェル・ヘルスのFred Lado氏は、この研究は因果関係を証明したものではないとしながらも、「妊娠中の葉酸補充により、抗てんかん薬による子どもの神経管欠損症などの先天性疾患リスクが低減することが既に広く認められている。また、一般に推奨される用量であれば、葉酸補充によるリスクはみられないようだ」と説明している。さらに、今回の結果は、葉酸補充のベネフィットが子どもの出生後の発達にも影響することを示した新たなエビデンスになるものだと付け加えている。(HealthDay News 2018年8月1日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/folic-acid-supplements-in-pregnancy-help-kids-of-women-with-epilepsy-736269.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
妊娠中に抗てんかん薬の服用を続ける女性患者は、妊娠前から葉酸を摂取することで生まれた子どもの言語発達に遅れが出るリスクが半減できる可能性のあることが、ノルウェーの新たな研究で示された。詳細は「Neurology」8月1日オンライン版に掲載された。てんかん発作は母体だけでなく胎児にも危険をもたらす可能性があるため、妊娠中でも抗てんかん薬の治療を継続することが重要になる。しかし、妊娠中に抗てんかん薬を服用すると、生まれた子どもの言語発達に遅れが出ることが懸念されている。ベルゲン大学(ノルウェー)のElisabeth Synnøve Nilsen Husebye氏らは今回、妊娠中に抗てんかん薬を服用した母親から生まれた子ども335人と、てんかんのない母親から生まれた子ども10万4,222人を対象に、妊娠中の葉酸摂取と子どもの言語発達との関連を調べた。.その結果、妊娠前から妊娠初期にかけて母親が葉酸を摂取していなかった子どもでは、生後18カ月の時点で言語発達遅延がある割合は、母親にてんかんがある場合には34%だったのに対し、母親にてんかんがない場合では11%であった。3歳の時点では、それぞれ24%と6%の子どもに言語発達遅延が認められた。.一方で、母親が葉酸を摂取していた子どもでは、生後18カ月の時点で言語発達遅延がある割合は、母親にてんかんがある場合には17%、てんかんがない場合には11%であった。こうした葉酸の保護効果は、てんかんがない母親に比べて、てんかんを持つ母親から生まれた子どもでより強くみられることも明らかになった。.これらの結果から、Husebye氏は「母親の胎内で抗てんかん薬に曝された子どもが、生後18カ月の時点で言語発達遅延を来すリスクは、葉酸を摂取することで半減することが分かった」と結論づけている。その上で、「抗てんかん薬の多くは葉酸代謝との相互作用があるため、この結果は世界中のてんかんを持つ女性にとって有意義なものになるだろう」と述べている。.専門家の一人で米ハンチントン病院産婦人科部長のMitchell Kramer氏は「一般的に妊婦には葉酸をサプリメントなどで補充することが推奨されているが、抗てんかん薬を服用する女性の場合は、特に葉酸摂取が重要になると思われる」と話している。.同じく専門家の米ノースウェル・ヘルスのFred Lado氏は、この研究は因果関係を証明したものではないとしながらも、「妊娠中の葉酸補充により、抗てんかん薬による子どもの神経管欠損症などの先天性疾患リスクが低減することが既に広く認められている。また、一般に推奨される用量であれば、葉酸補充によるリスクはみられないようだ」と説明している。さらに、今回の結果は、葉酸補充のベネフィットが子どもの出生後の発達にも影響することを示した新たなエビデンスになるものだと付け加えている。(HealthDay News 2018年8月1日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/folic-acid-supplements-in-pregnancy-help-kids-of-women-with-epilepsy-736269.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.