思春期を迎える前に握力が弱い子どもは、握力が強い子どもに比べて糖尿病や心疾患などの健康問題を抱えるリスクが高いことが、新たな研究で示唆された。この研究を実施した米ベイラー医科大学健康人間科学部長のPaul Gordon氏によれば、これまでの研究で、成人の握力低下は健康悪化の指標になりうることが報告されていたが、思春期前の子どもでも同様な結果が確認されたのは今回が初めてだという。詳細は「Journal of Pediatrics」7月30日オンライン版に掲載された。この研究は、米国の小学4年生の児童368人を対象に、研究開始時に握力検査を実施し、心血管代謝に関わる健康状態を2年間にわたり追跡したもの。子どもの肥満や血糖、血圧、中性脂肪(トリグリセライド)の値の上昇、HDL-コレステロール値の低下といったリスク因子を評価し、リスク因子がない健康な状態を維持しているか、あるいはリスク因子の数の増減で健康状態が改善または悪化しているかを判定した。.研究開始時に行った握力検査で、男子の27.9%、女子の20.1%は握力が弱いと判定された。追跡の結果、体重で補正した握力が弱い子どもは、握力が強い子どもに比べて、追跡期間中に健康状態が不良な状態が続くか、健康状態が悪化する確率が約3倍に上ることが分かった。こうした関連は、心肺機能や身体活動量、除脂肪体重を考慮した解析でも認められたという。.Gordon氏は、同大学のニュースリリースの中で「現代の子どもたちに肥満が蔓延していることからも、昔の世代に比べて糖尿病前症や心血管疾患になりやすいことは明らかだ」と話している。.また、Gordon氏はこの結果について、「将来、糖尿病や心血管疾患を発症するリスクと握力の関係について多くの洞察をもたらし、子どもの健康を保つには食事や運動だけでなく、筋力をつけることも重要なことが示唆された」と指摘する。また、簡便な体力テストである握力検査は、診察室で容易に行えるという利点もあるとし、「握力の測定により思春期前の子どもの心血管代謝リスクを予測することができ、生活習慣の改善などが必要となる子どもを早期に発見できるようになるだろう」と話している。.ただ、Gordon氏は今回の研究は、思春期前の握力と健康の関連が示されたに過ぎないと強調している。また、子ども時代の筋力が成人後の健康状態にどのように影響するのかについては、さらに研究を重ねる必要があると付け加えている。(HealthDay News 2018年8月13日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/misc-kid-s-health-news-435/a-weak-grip-may-signal-future-health-trouble-even-in-kids-736640.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
思春期を迎える前に握力が弱い子どもは、握力が強い子どもに比べて糖尿病や心疾患などの健康問題を抱えるリスクが高いことが、新たな研究で示唆された。この研究を実施した米ベイラー医科大学健康人間科学部長のPaul Gordon氏によれば、これまでの研究で、成人の握力低下は健康悪化の指標になりうることが報告されていたが、思春期前の子どもでも同様な結果が確認されたのは今回が初めてだという。詳細は「Journal of Pediatrics」7月30日オンライン版に掲載された。この研究は、米国の小学4年生の児童368人を対象に、研究開始時に握力検査を実施し、心血管代謝に関わる健康状態を2年間にわたり追跡したもの。子どもの肥満や血糖、血圧、中性脂肪(トリグリセライド)の値の上昇、HDL-コレステロール値の低下といったリスク因子を評価し、リスク因子がない健康な状態を維持しているか、あるいはリスク因子の数の増減で健康状態が改善または悪化しているかを判定した。.研究開始時に行った握力検査で、男子の27.9%、女子の20.1%は握力が弱いと判定された。追跡の結果、体重で補正した握力が弱い子どもは、握力が強い子どもに比べて、追跡期間中に健康状態が不良な状態が続くか、健康状態が悪化する確率が約3倍に上ることが分かった。こうした関連は、心肺機能や身体活動量、除脂肪体重を考慮した解析でも認められたという。.Gordon氏は、同大学のニュースリリースの中で「現代の子どもたちに肥満が蔓延していることからも、昔の世代に比べて糖尿病前症や心血管疾患になりやすいことは明らかだ」と話している。.また、Gordon氏はこの結果について、「将来、糖尿病や心血管疾患を発症するリスクと握力の関係について多くの洞察をもたらし、子どもの健康を保つには食事や運動だけでなく、筋力をつけることも重要なことが示唆された」と指摘する。また、簡便な体力テストである握力検査は、診察室で容易に行えるという利点もあるとし、「握力の測定により思春期前の子どもの心血管代謝リスクを予測することができ、生活習慣の改善などが必要となる子どもを早期に発見できるようになるだろう」と話している。.ただ、Gordon氏は今回の研究は、思春期前の握力と健康の関連が示されたに過ぎないと強調している。また、子ども時代の筋力が成人後の健康状態にどのように影響するのかについては、さらに研究を重ねる必要があると付け加えている。(HealthDay News 2018年8月13日).https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/misc-kid-s-health-news-435/a-weak-grip-may-signal-future-health-trouble-even-in-kids-736640.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.