カリフォルニア州の22万人以上の妊婦を対象とした研究から、妊娠中の吐き気や嘔吐といったつわりの症状を軽減する目的で、医療大麻を使う妊婦が増加傾向にあることが示唆された。研究を実施した米カイザーパーマネンテ北カリフォルニア研究部門のKelly Young-Wolff氏らによると、妊婦全体の約5%が妊娠初期に医療大麻を使用していたが、つわりの症状が重度の妊婦ではその割合は約11%に上っていたという。詳細は「JAMA Internal Medicine」8月20日オンライン版に掲載された。Young-Wolff氏らは今回、2009~2016年にかけて、妊娠第1トリメスター(妊娠初期)に妊婦健診を受けた女性22万510人を対象に、つわりと妊娠中の医療大麻の使用との関連について検討した。医療大麻の使用の有無については、妊娠8週前後に実施した質問票による調査への回答と尿検査の結果に基づき判定した。.その結果、対象とした妊婦全体の5.3%が医療大麻を使用していた。また、医療大麻を使う妊婦の割合は、つわりがない妊婦の4.5%に対して軽度のつわりがある妊婦では8.4%と約2倍に上り、重度のつわりがある妊婦では11.3%と約3倍であることが明らかになった。.この結果について、Young-Wolff氏は「つわりが原因で妊婦が医療大麻を使っていることを証明したものではないが、一部の妊婦ではセルフメディケーションとして医療大麻が使用されている可能性が示唆された。これは懸念すべき結果だ」と指摘する。その上で、「われわれ医療従事者は、妊婦に対して妊娠中のつわりの症状には承認されている医学的な治療を受けさせる必要がある」と強調している。.ただし、実際にセルフメディケーションとして医療大麻を使用した妊婦の数は不明であり、妊娠に気付く直前に医療大麻を使用した妊婦も対象に含まれている可能性もあるなど、今回の研究には限界があるとYoung-Wolff氏らは説明している。また、対象者は北カリフォルニア州の住民に限定されており、他の地域でも同様の結果が得られる確証はないとしている。.しかし、薬物などの催奇形性に関する情報を提供する専門家団体の委員で、米ワシントンD.C.の産婦人科医であるAnthony Scialli氏は、つわり対策で医療大麻を使う妊婦は珍しくなく、この研究報告に「驚きはなかった」と話す。同氏によると、こうした妊婦の多くは妊娠前から医療大麻を使用しており、妊娠中に使用しても安全だと考えている場合が多いという。ただ、妊娠中の医療大麻の使用に関するこれまでの研究では一貫した結果は得られていないものの、「脳の機能に影響することは、かなりはっきりと示されている」と同氏は指摘している。.今回の研究を実施したYoung-Wolff氏も「妊婦は吐き気や嘔吐を抑えるために医療大麻を使用すべきではない。これらの症状に悩んでいる女性は医療従事者に相談してほしい」と呼び掛けている。.なお、米国産科婦人科学会(ACOG)は、つわりの症状を和らげる方法として、あっさりとした食べ物を選ぶことや水分を十分摂取すること、1回当たりの食事の量を減らして食事の回数を増やすことなどを勧めている。また、治療薬が必要な場合はビタミンB6と抗ヒスタミン薬のdoxylamine(ドキシラミン、日本国内は未承認)の併用を推奨している。(HealthDay News 2018年8月20日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-news-543/are-more-u-s-women-using-pot-to-ease-morning-sickness-736927.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
カリフォルニア州の22万人以上の妊婦を対象とした研究から、妊娠中の吐き気や嘔吐といったつわりの症状を軽減する目的で、医療大麻を使う妊婦が増加傾向にあることが示唆された。研究を実施した米カイザーパーマネンテ北カリフォルニア研究部門のKelly Young-Wolff氏らによると、妊婦全体の約5%が妊娠初期に医療大麻を使用していたが、つわりの症状が重度の妊婦ではその割合は約11%に上っていたという。詳細は「JAMA Internal Medicine」8月20日オンライン版に掲載された。Young-Wolff氏らは今回、2009~2016年にかけて、妊娠第1トリメスター(妊娠初期)に妊婦健診を受けた女性22万510人を対象に、つわりと妊娠中の医療大麻の使用との関連について検討した。医療大麻の使用の有無については、妊娠8週前後に実施した質問票による調査への回答と尿検査の結果に基づき判定した。.その結果、対象とした妊婦全体の5.3%が医療大麻を使用していた。また、医療大麻を使う妊婦の割合は、つわりがない妊婦の4.5%に対して軽度のつわりがある妊婦では8.4%と約2倍に上り、重度のつわりがある妊婦では11.3%と約3倍であることが明らかになった。.この結果について、Young-Wolff氏は「つわりが原因で妊婦が医療大麻を使っていることを証明したものではないが、一部の妊婦ではセルフメディケーションとして医療大麻が使用されている可能性が示唆された。これは懸念すべき結果だ」と指摘する。その上で、「われわれ医療従事者は、妊婦に対して妊娠中のつわりの症状には承認されている医学的な治療を受けさせる必要がある」と強調している。.ただし、実際にセルフメディケーションとして医療大麻を使用した妊婦の数は不明であり、妊娠に気付く直前に医療大麻を使用した妊婦も対象に含まれている可能性もあるなど、今回の研究には限界があるとYoung-Wolff氏らは説明している。また、対象者は北カリフォルニア州の住民に限定されており、他の地域でも同様の結果が得られる確証はないとしている。.しかし、薬物などの催奇形性に関する情報を提供する専門家団体の委員で、米ワシントンD.C.の産婦人科医であるAnthony Scialli氏は、つわり対策で医療大麻を使う妊婦は珍しくなく、この研究報告に「驚きはなかった」と話す。同氏によると、こうした妊婦の多くは妊娠前から医療大麻を使用しており、妊娠中に使用しても安全だと考えている場合が多いという。ただ、妊娠中の医療大麻の使用に関するこれまでの研究では一貫した結果は得られていないものの、「脳の機能に影響することは、かなりはっきりと示されている」と同氏は指摘している。.今回の研究を実施したYoung-Wolff氏も「妊婦は吐き気や嘔吐を抑えるために医療大麻を使用すべきではない。これらの症状に悩んでいる女性は医療従事者に相談してほしい」と呼び掛けている。.なお、米国産科婦人科学会(ACOG)は、つわりの症状を和らげる方法として、あっさりとした食べ物を選ぶことや水分を十分摂取すること、1回当たりの食事の量を減らして食事の回数を増やすことなどを勧めている。また、治療薬が必要な場合はビタミンB6と抗ヒスタミン薬のdoxylamine(ドキシラミン、日本国内は未承認)の併用を推奨している。(HealthDay News 2018年8月20日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-news-543/are-more-u-s-women-using-pot-to-ease-morning-sickness-736927.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.