単回経口投与型の抗インフルエンザウイルス薬は、プラセボに比べて咳や喉の痛み、頭痛などのインフルエンザ症状の軽減に優れ、その効果はオセルタミビルと同程度であるとする2件の臨床試験の結果が「New England Journal of Medicine」9月6日号に発表された。この坑インフルエンザウイルス薬はバロキサビル マルボキシル(以下、バロキサビル)と呼ばれ、日本国内ではゾフルーザの製品名で2018年2月に製造販売承認を取得している。論文の筆頭著者で米バージニア大学医学部教授のFrederick Hayden氏によれば、流行中のインフルエンザウイルスは、アマンタジンやリマンタジン(日本国内未承認)といった古いタイプの抗インフルエンザウイルス薬に耐性を示し、オセルタミビルやザナミビルにも耐性を獲得しつつあることから、現行の治療には限界があると指摘する。そのため、これまでの薬剤とは作用機序が異なる、より効果の高い新たな坑インフルエンザウイルス薬の開発が待たれていたという。.今回報告された2件の臨床試験のうち1件は第2相試験で、2015/2016シーズンにインフルエンザに罹患した、普段は健康で合併症リスクの低い20~64歳の患者約400人を対象としたもの。対象患者を3用量のバロキサビル(10~40mg)投与群とプラセボ投与群にランダムに割り付けて比較した結果、バロキサビルを投与した3つの群ではプラセボ群よりも早くインフルエンザ症状の緩和がみられた。.また、次のインフルエンザシーズンに、12~64歳のインフルエンザ患者約1,100人を対象に実施した第3相試験では、対象患者をバロキサビル群またはオセルタミビル群にランダムに割り付けて比較した。その結果、両群でほぼ同時期にインフルエンザの症状が緩和され、副作用リスクも同程度であることが分かった。.Hayden氏によると、今回の臨床試験ではバロキサビルによってインフルエンザの症状が迅速かつ効果的に、また安全に緩和され、その程度は既存の治療薬と同程度であっただけでなく、耐性の問題も認められなかった。さらに、バロキサビルには強力な抗ウイルス作用も認められたという。しかも、タミフルは1日2回、5日間の服用を必要とするのに対し、バロキサビルはたった1回服用するだけで済むという利便性の高さも注目されている。.今回の臨床試験はバロキサビルを開発、製造した塩野義製薬の助成を受けて実施された。同薬は日本で既に承認されているが、米国ではまだ開発中の薬剤として位置づけられており、年内にも米食品医薬品局(FDA)の審査結果が出る見込みだという。.米疾病対策センター(CDC)インフルエンザ部門チーフメディカルオフィサーのTimothy Uyeki氏は同誌の付随論評で、バロキサビルの利点について、単回投与で済むため服薬コンプライアンスの向上が期待できることを挙げている。ただ、今回報告された臨床試験は、健康で合併症リスクの低い患者を対象としていたことから、「子どもや高齢者、妊婦、持病のある人などリスクが高い人でも同様に有益なのかどうかは、さらなる研究で検証する必要がある」と述べている。(HealthDay News 2018年9月6日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/new-one-dose-flu-drug-shows-promise-737470.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
単回経口投与型の抗インフルエンザウイルス薬は、プラセボに比べて咳や喉の痛み、頭痛などのインフルエンザ症状の軽減に優れ、その効果はオセルタミビルと同程度であるとする2件の臨床試験の結果が「New England Journal of Medicine」9月6日号に発表された。この坑インフルエンザウイルス薬はバロキサビル マルボキシル(以下、バロキサビル)と呼ばれ、日本国内ではゾフルーザの製品名で2018年2月に製造販売承認を取得している。論文の筆頭著者で米バージニア大学医学部教授のFrederick Hayden氏によれば、流行中のインフルエンザウイルスは、アマンタジンやリマンタジン(日本国内未承認)といった古いタイプの抗インフルエンザウイルス薬に耐性を示し、オセルタミビルやザナミビルにも耐性を獲得しつつあることから、現行の治療には限界があると指摘する。そのため、これまでの薬剤とは作用機序が異なる、より効果の高い新たな坑インフルエンザウイルス薬の開発が待たれていたという。.今回報告された2件の臨床試験のうち1件は第2相試験で、2015/2016シーズンにインフルエンザに罹患した、普段は健康で合併症リスクの低い20~64歳の患者約400人を対象としたもの。対象患者を3用量のバロキサビル(10~40mg)投与群とプラセボ投与群にランダムに割り付けて比較した結果、バロキサビルを投与した3つの群ではプラセボ群よりも早くインフルエンザ症状の緩和がみられた。.また、次のインフルエンザシーズンに、12~64歳のインフルエンザ患者約1,100人を対象に実施した第3相試験では、対象患者をバロキサビル群またはオセルタミビル群にランダムに割り付けて比較した。その結果、両群でほぼ同時期にインフルエンザの症状が緩和され、副作用リスクも同程度であることが分かった。.Hayden氏によると、今回の臨床試験ではバロキサビルによってインフルエンザの症状が迅速かつ効果的に、また安全に緩和され、その程度は既存の治療薬と同程度であっただけでなく、耐性の問題も認められなかった。さらに、バロキサビルには強力な抗ウイルス作用も認められたという。しかも、タミフルは1日2回、5日間の服用を必要とするのに対し、バロキサビルはたった1回服用するだけで済むという利便性の高さも注目されている。.今回の臨床試験はバロキサビルを開発、製造した塩野義製薬の助成を受けて実施された。同薬は日本で既に承認されているが、米国ではまだ開発中の薬剤として位置づけられており、年内にも米食品医薬品局(FDA)の審査結果が出る見込みだという。.米疾病対策センター(CDC)インフルエンザ部門チーフメディカルオフィサーのTimothy Uyeki氏は同誌の付随論評で、バロキサビルの利点について、単回投与で済むため服薬コンプライアンスの向上が期待できることを挙げている。ただ、今回報告された臨床試験は、健康で合併症リスクの低い患者を対象としていたことから、「子どもや高齢者、妊婦、持病のある人などリスクが高い人でも同様に有益なのかどうかは、さらなる研究で検証する必要がある」と述べている。(HealthDay News 2018年9月6日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/new-one-dose-flu-drug-shows-promise-737470.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.