ヒトの睡眠と覚醒のサイクルを調節する24時間の体内時計(概日リズム)が、てんかん患者の約80%で発作のタイミングに影響している可能性があることが、メルボルン大学(オーストラリア)のMark Cook氏らによる研究から明らかになった。同氏らは「てんかん発作パターンの解明につながる新たな知見であり、てんかん治療の向上に役立つ可能性がある」と期待を示している。この研究結果は「The Lancet Neurology」9月12日オンライン版に発表された。Cook氏によると、てんかんのような重症度が絶えず変化する疾患を治療するには、その疾患の周期的な性質を理解しておくことが重要だという。同氏らは今回、発作の頻度が高いてんかん患者1,118人が使用するPCや携帯端末のアプリのデータと、脳の電気活動を記録するデバイスを装着したてんかん患者12人を対象とした小規模研究のデータを用いて解析を行った。.それぞれの患者で一定期間(6時間から3カ月)におけるてんかん発作の発生頻度の傾向を特定するため、統計学的な手法により解析した結果、PCや携帯端末アプリを使用する人の80%で概日リズムと発作に関連が認められた。また、脳の電気活動が記録された患者の92%でも同様の関連が示された。なお、PCや携帯端末アプリを使用する人の7~21%は1週間単位のリズム、14~22%は3週間以上のリズムだった。.さらに、対象者の64%では発作に複数の周期のタイプが関連していることも分かった。ただ、週単位の周期が自然に起こっているのか、あるいは患者の環境による影響を受けたものなのかは不明だという。.研究ではそのほか、概日リズムの周期に関連した発作のピーク時間は患者によってさまざまであるが、午前8時前後と午後8時間前後にピークを迎える患者が最も多いことも分かった。一方、週単位の周期がみられた患者では、火曜日と水曜日に発作のピークが来る場合が多かった。このような傾向は性別あるいはてんかんのタイプを問わず認められた。.以上の結果を踏まえ、Cook氏らは「概日リズムの周期はてんかん発作の起こりやすさを調節している可能性がある」と結論づけている。また、さらなる研究で検証する必要はあるが、この研究結果は発作の予測や症状の管理の向上に役立つことが期待されるとしている。さらに、同氏は「抗てんかん薬の効果も時間によって変動する可能性があり、季節の変化や休暇、サマータイムなどもてんかん発作のパターンに影響する可能性も考えられる」と話している。(HealthDay News 2018年9月13日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/internal-body-clocks-may-affect-timing-of-epileptic-seizures-737649.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
ヒトの睡眠と覚醒のサイクルを調節する24時間の体内時計(概日リズム)が、てんかん患者の約80%で発作のタイミングに影響している可能性があることが、メルボルン大学(オーストラリア)のMark Cook氏らによる研究から明らかになった。同氏らは「てんかん発作パターンの解明につながる新たな知見であり、てんかん治療の向上に役立つ可能性がある」と期待を示している。この研究結果は「The Lancet Neurology」9月12日オンライン版に発表された。Cook氏によると、てんかんのような重症度が絶えず変化する疾患を治療するには、その疾患の周期的な性質を理解しておくことが重要だという。同氏らは今回、発作の頻度が高いてんかん患者1,118人が使用するPCや携帯端末のアプリのデータと、脳の電気活動を記録するデバイスを装着したてんかん患者12人を対象とした小規模研究のデータを用いて解析を行った。.それぞれの患者で一定期間(6時間から3カ月)におけるてんかん発作の発生頻度の傾向を特定するため、統計学的な手法により解析した結果、PCや携帯端末アプリを使用する人の80%で概日リズムと発作に関連が認められた。また、脳の電気活動が記録された患者の92%でも同様の関連が示された。なお、PCや携帯端末アプリを使用する人の7~21%は1週間単位のリズム、14~22%は3週間以上のリズムだった。.さらに、対象者の64%では発作に複数の周期のタイプが関連していることも分かった。ただ、週単位の周期が自然に起こっているのか、あるいは患者の環境による影響を受けたものなのかは不明だという。.研究ではそのほか、概日リズムの周期に関連した発作のピーク時間は患者によってさまざまであるが、午前8時前後と午後8時間前後にピークを迎える患者が最も多いことも分かった。一方、週単位の周期がみられた患者では、火曜日と水曜日に発作のピークが来る場合が多かった。このような傾向は性別あるいはてんかんのタイプを問わず認められた。.以上の結果を踏まえ、Cook氏らは「概日リズムの周期はてんかん発作の起こりやすさを調節している可能性がある」と結論づけている。また、さらなる研究で検証する必要はあるが、この研究結果は発作の予測や症状の管理の向上に役立つことが期待されるとしている。さらに、同氏は「抗てんかん薬の効果も時間によって変動する可能性があり、季節の変化や休暇、サマータイムなどもてんかん発作のパターンに影響する可能性も考えられる」と話している。(HealthDay News 2018年9月13日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/internal-body-clocks-may-affect-timing-of-epileptic-seizures-737649.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.