血液透析患者では、胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を使用すると大腿骨骨折のリスクが約20%上昇する可能性のあることが、米ベイラー医科大学のChandan Vangala氏らの研究により示された。詳細は「Clinical Journal of the American Society of Nephrology」9月27日オンライン版に発表された。PPIは胃酸分泌を抑え、逆流性食道炎や胸やけなどの治療に用いられる薬剤だが、腎不全患者の多くがPPIを服用している。Vangala氏らの研究グループは、米国腎臓データシステム(USRDS)のデータを用いて、血液透析患者のうち2009~2014年に大腿骨骨折を発生した全例を特定した。.さらに、高齢者向け公的医療保険であるメディケアのうち、処方薬をカバーする「メディケア・パートD」の保険請求データを用い、患者の過去3年間の処方薬の使用状況を精査。骨折した患者一人につき骨折しなかった10人の血液透析患者をマッチさせ、骨折群4,551人および対照群4万5,510人を対象に、処方された薬剤と大腿骨骨折の発生との関係を検討した。.解析の結果、PPIを使用すると大腿骨骨折リスクが19%上昇することが分かった(調整オッズ比1.19、95%信頼区間1.11~1.28)。大腿骨骨折を来した人の約75%が過去3年間にPPIを服用していた。一方、ヒスタミンH2受容体拮抗薬の使用と大腿骨骨折の間には関連は認められなかった。.これらの結果から、Vangala氏は「PPIは血液透析患者において6番目に多く処方されている薬剤だが、この使用と大腿骨骨折リスクの上昇には関係があることが明らかとなった」と結論づけている。その上で、同氏らは「PPIを使用する血液透析患者については定期的な評価を行い、使用を継続すべきかどうかを判断する必要がある」と指摘している。なお、問題とされるPPIには、オメプラゾール、ランソプラゾール、pantoprazole(パントプラゾール、日本国内未承認)などが挙げられるという。.米ジョンズ・ホプキンス大学のBenjamin Lazarus氏らは同誌の付随論評で、「今回の結果は、PPIの使用が血液透析患者の大腿骨骨折の原因であることを示したわけではない」と指摘する一方で、「入手可能なデータをみる限り、血液透析患者がPPIを使用する際には個別に対応する必要があり、医学的に判断される場合は速やかに使用を中止すべきだ」と述べている。(HealthDay News 2018年9月27日).https://consumer.healthday.com/gastrointestinal-information-15/heartburn-gerd-and-indigestion-news-369/common-heartburn-drugs-linked-to-broken-hips-in-dialysis-patients-737968.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
血液透析患者では、胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)を使用すると大腿骨骨折のリスクが約20%上昇する可能性のあることが、米ベイラー医科大学のChandan Vangala氏らの研究により示された。詳細は「Clinical Journal of the American Society of Nephrology」9月27日オンライン版に発表された。PPIは胃酸分泌を抑え、逆流性食道炎や胸やけなどの治療に用いられる薬剤だが、腎不全患者の多くがPPIを服用している。Vangala氏らの研究グループは、米国腎臓データシステム(USRDS)のデータを用いて、血液透析患者のうち2009~2014年に大腿骨骨折を発生した全例を特定した。.さらに、高齢者向け公的医療保険であるメディケアのうち、処方薬をカバーする「メディケア・パートD」の保険請求データを用い、患者の過去3年間の処方薬の使用状況を精査。骨折した患者一人につき骨折しなかった10人の血液透析患者をマッチさせ、骨折群4,551人および対照群4万5,510人を対象に、処方された薬剤と大腿骨骨折の発生との関係を検討した。.解析の結果、PPIを使用すると大腿骨骨折リスクが19%上昇することが分かった(調整オッズ比1.19、95%信頼区間1.11~1.28)。大腿骨骨折を来した人の約75%が過去3年間にPPIを服用していた。一方、ヒスタミンH2受容体拮抗薬の使用と大腿骨骨折の間には関連は認められなかった。.これらの結果から、Vangala氏は「PPIは血液透析患者において6番目に多く処方されている薬剤だが、この使用と大腿骨骨折リスクの上昇には関係があることが明らかとなった」と結論づけている。その上で、同氏らは「PPIを使用する血液透析患者については定期的な評価を行い、使用を継続すべきかどうかを判断する必要がある」と指摘している。なお、問題とされるPPIには、オメプラゾール、ランソプラゾール、pantoprazole(パントプラゾール、日本国内未承認)などが挙げられるという。.米ジョンズ・ホプキンス大学のBenjamin Lazarus氏らは同誌の付随論評で、「今回の結果は、PPIの使用が血液透析患者の大腿骨骨折の原因であることを示したわけではない」と指摘する一方で、「入手可能なデータをみる限り、血液透析患者がPPIを使用する際には個別に対応する必要があり、医学的に判断される場合は速やかに使用を中止すべきだ」と述べている。(HealthDay News 2018年9月27日).https://consumer.healthday.com/gastrointestinal-information-15/heartburn-gerd-and-indigestion-news-369/common-heartburn-drugs-linked-to-broken-hips-in-dialysis-patients-737968.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.