重度肥満を合併した2型糖尿病患者では、減量手術によって心筋梗塞や脳卒中などの大血管イベントの発生リスクが低減する可能性があることが、米カイザー・パーマネンテ・ワシントンヘルスリサーチ機関のDavid Arterburn氏らが行った後ろ向きコホート研究により示された。詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月6日オンライン版に発表された。Arterburn氏らは、2005~2011年に減量手術を受けた重度肥満(BMI 35以上)を合併した糖尿病患者5,301人(手術群)と年齢と性、BMIなどをマッチさせた減量手術を受けていない患者1万4,934人(対照群)を対象に2015年まで追跡し、診療記録を精査した。.その結果、追跡開始から5年後における急性心筋梗塞や脳梗塞などの大血管イベントの発生率は、対照群の4%に対し、手術群では2%であり、年齢や人種などで調整後の解析でも手術群では心血管系の合併症リスクが40%低いことが分かった。また、5年後には対照群では4.5%が死亡したが、手術群では1%にとどまり、手術群では対照群に比べて死亡リスクも低いことが明らかになった。.以上の結果を踏まえ、Arterburn氏は「2型糖尿病の標準的な治療は薬物療法と食事療法、運動療法だが、重度肥満を合併した患者ではそれだけでは不十分な場合がある。今回の結果から、より多くの医師と患者が手術という治療選択肢について話し合うことが期待される」と述べている。また、今回の研究では因果関係は明らかになっていないが、同氏は「この結果は、減量手術が心臓発作や脳卒中を予防する可能性があることを示す現時点で最良のエビデンスだ」と指摘している。.米国立衛生研究所(NIH)によると、肥満手術はBMI 40以上の極めて重度の肥満患者の治療選択肢であり、BMI 35程度の肥満でも糖尿病や睡眠時無呼吸を合併していれば適応となる可能性があるという。ただ、Arterburn氏は「肥満手術は侵襲的でリスクもある。潜在的なメリットと天秤にかける必要がある」と付け加えている。.専門家の一人で論文の付随論評を執筆した米ミネソタ大学医学部外科部長のSayeed Ikramuddin氏は「手術によるベネフィットが得られるのは適格な患者であって、全ての重度肥満患者に適用されるわけではない」として、「重度肥満の人には減量こそが重要だ」と強調する。同氏は「肥満者は生活習慣の改善とともに減量に向けたあらゆる選択肢を医師と相談すべきで、手術は幅広い選択肢の中の一つとするべきだ」と話している。(HealthDay News 2018年10月16日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/weight-loss-surgery-bariatric-1005/obesity-surgery-may-cut-heart-attack-risk-in-diabetics-738679.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.
重度肥満を合併した2型糖尿病患者では、減量手術によって心筋梗塞や脳卒中などの大血管イベントの発生リスクが低減する可能性があることが、米カイザー・パーマネンテ・ワシントンヘルスリサーチ機関のDavid Arterburn氏らが行った後ろ向きコホート研究により示された。詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月6日オンライン版に発表された。Arterburn氏らは、2005~2011年に減量手術を受けた重度肥満(BMI 35以上)を合併した糖尿病患者5,301人(手術群)と年齢と性、BMIなどをマッチさせた減量手術を受けていない患者1万4,934人(対照群)を対象に2015年まで追跡し、診療記録を精査した。.その結果、追跡開始から5年後における急性心筋梗塞や脳梗塞などの大血管イベントの発生率は、対照群の4%に対し、手術群では2%であり、年齢や人種などで調整後の解析でも手術群では心血管系の合併症リスクが40%低いことが分かった。また、5年後には対照群では4.5%が死亡したが、手術群では1%にとどまり、手術群では対照群に比べて死亡リスクも低いことが明らかになった。.以上の結果を踏まえ、Arterburn氏は「2型糖尿病の標準的な治療は薬物療法と食事療法、運動療法だが、重度肥満を合併した患者ではそれだけでは不十分な場合がある。今回の結果から、より多くの医師と患者が手術という治療選択肢について話し合うことが期待される」と述べている。また、今回の研究では因果関係は明らかになっていないが、同氏は「この結果は、減量手術が心臓発作や脳卒中を予防する可能性があることを示す現時点で最良のエビデンスだ」と指摘している。.米国立衛生研究所(NIH)によると、肥満手術はBMI 40以上の極めて重度の肥満患者の治療選択肢であり、BMI 35程度の肥満でも糖尿病や睡眠時無呼吸を合併していれば適応となる可能性があるという。ただ、Arterburn氏は「肥満手術は侵襲的でリスクもある。潜在的なメリットと天秤にかける必要がある」と付け加えている。.専門家の一人で論文の付随論評を執筆した米ミネソタ大学医学部外科部長のSayeed Ikramuddin氏は「手術によるベネフィットが得られるのは適格な患者であって、全ての重度肥満患者に適用されるわけではない」として、「重度肥満の人には減量こそが重要だ」と強調する。同氏は「肥満者は生活習慣の改善とともに減量に向けたあらゆる選択肢を医師と相談すべきで、手術は幅広い選択肢の中の一つとするべきだ」と話している。(HealthDay News 2018年10月16日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/weight-loss-surgery-bariatric-1005/obesity-surgery-may-cut-heart-attack-risk-in-diabetics-738679.html.Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.